2024年10月15日 表と裏と……人間の本質はどこにあるのか!?

今日は『六人の嘘つきな大学生』(著:浅倉秋成,角川文庫,2023年)を読んだ。

最近、漫画の『ショーハショーテン!』を読んでいる。たくさんの芸人コンビ(あるいはトリオ)が登場する群像劇で、それぞれのキャラクタの人生が丁寧に、そして仔細に描かれている。面白いなあと思って、原作者・浅倉秋成の小説を読んでみたくなったのだ。

純粋に面白かったし、読んでよかった。オススメの1冊だ。基本的には就活生たちの物語だ。大学生が自己と向き合いながら、あるいは自己を必要以上に飾り立てて企業面接に臨んでいく。最終面接まで進んだ6人は、グループでの課題解決というグループ面接を課されて、それに備えて事前に何度も集まって作戦会議をして結束していく。しかし、最後のグループ面接の中で、次々とメンバーたちの嘘が露呈していく……という物語だ。ホラーのような展開。それでも、ボクがこの作品が面白いと思ったのは、作者の強いメッセージだ。面接では一瞬一瞬で、その人間性が切り取られる。表もあれば、裏もある。でも、何がその人間の本質なのか。そこに深く斬り込んでいく。それが強いメッセージになって、現代社会に問題提起する。

本作を読んで、としか言えない。でも、常々、ボクが感じている現代社会への違和感が見事に言葉になって綴られている。そのとおりだと思った。それを読んでいると体感できるので、是非、多くの人に読んで欲しいなと思う。だから、強くオススメしたい本だ。