チャオドイノンメ

分 類ベトナム伝承
名 称 Chó đội nón mê(チャオドイノンメ)《破れ編み笠をまとったイヌ》【ベトナム語】
chó đội nón chống gậy(チャオドイノンチョンガイ)《編み笠と杖をまとったイヌ》【ベトナム語】
容 姿破れた編み笠をかぶり、杖を使って二足歩行するイヌの妖怪。
特 徴長生きして霊力を得たイヌ。獣の血を吸い、人間の魂を奪う。
出 典

チャオドイノンメのイラスト

イヌも長生きすると妖怪と化す!?

チャオドイノンメ、あるいはチャオドイノンチョンガイはベトナムに伝わるイヌの妖怪である。ベトナムでは三角錐の編み笠を被るが、この破れ編み傘のことを「ノンメ」と呼ぶ。チャオドイノンメは、この破れ編み笠をかぶったイヌの妖怪である。この「編み笠をかぶったイヌ」は、しばしばベトナム各地で目撃されていて、ときには杖を使いながら、二足歩行で歩く。また、非常に賢いものは人語をも理解すると信じられている。

中国や日本では、動物が長い年月を生きると、次第に霊力を得て妖怪と化すと信じられている。たとえば、キツネが妖狐になったり、ネコが猫股になったりする。同様に、ベトナムではイヌが長生きするとチャオドイノンメになるのだという。あるいは戦場などで恨み抱きながら死んだ人間の魂がイヌの中に入り込んでチャオドイノンメになるとも言われている。

チャオドイノンメはより霊力を得て長生きするために、血を必要とするようだ。そのため、チャオドイノンメは、しばしば家畜を噛み殺す。人間を襲う強者もいて、月夜に屋根の上に登って、魂を奪うとされる。特にチャオドイノンメを目撃して、驚いて口を開けると、魂を吸い取ってしまう。あるいは、年老いた人間が住んでいる家はチャオドイノンメに狙われやすく、魂を奪って殺してしまうと信じられている。

チャオドイノンメは獣の妖怪たちの親玉だとも考えられている。ネコやフクロウ、アヒル、ニワトリなどが霊力を得て妖怪と化すこともあるが、チャオドイノンメはこれらの妖怪たちを屋根の上に集めて、魂を奪いに繰り出すという。

《参考文献》

Last update: 2024/07/28

サイト内検索