マンドラゴラ

分 類古代・中世博物誌ヨーロッパ伝承
名 称 Μανδραγόρας(マンドラゴラース)【古代ギリシア語】
Mandragora(マンドラゴラ)【英語】
Mandrake(マンドレイク)【英語】
容 姿根っこが人間の形をした植物。
特 徴地面から引き抜くと悲鳴を上げ、それを聞いた人間は発狂する。さまざまな薬効が知られる。
出 典プリーニウス『博物誌』(77年)、シェイクスピア『ロミオとジュリエット』(1595年頃)ほか

マンドラゴラは恋の媚薬!?

マンドラゴラは、根っこが人間の形をしている不思議の植物。日本語では恋茄子(こいなすび)と訳されることもあるように、丸い実には性欲増強、催淫などの媚薬の薬効があると信じられた。マンドラゴラは熟すると根っこが2つに分かれて、そのまま地上に出て歩き出すという。白いマンドラゴラがオス、黒いマンドラゴラがメスという説もあり、女性の心を惹こうとする場合には白いオスのマンドラゴラを、男性の心を惹こうとする場合には黒いメスのマンドラゴラを用いればいいとされる。

絞首刑になった受刑者の尿や精液が地面に落ちて、そこからマンドラゴラが生えるとも言われている。

マンドラゴラはどのように入手するか!?

マンドラゴラを入手するのは非常に難しい。というのも、マンドラゴラは引き抜くときにものすごい悲鳴をあげる。この悲鳴を聞いたものは、ときに発狂し、ときに絶命する。そのために考案された方法がイヌを身代わりにする方法だ。イヌの尾にマンドラゴラの葉をくくりつけて、自分は耳に蝋を詰めて遠くからイヌを呼ぶ。そうすれば、マンドラゴラを引き抜いたイヌは死んでしまうが、代わりに貴重な根っこを手に入れることができる。そのような経緯で入手するものと信じられていたので、マンドラゴラはイヌの死体と一緒に取り引されることもあったという。

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でも、スプラウト教授が生徒と一緒にマンドラゴラの苗を植え替えるシーンがある。耳当てをして、音が聞こえないようにして引き抜いたが、それでも気絶する生徒がいた。ちなみに、ハリー・ポッター・シリーズでは、石化を直す効力を持つ植物として登場している。

マンドラゴラは実在する!?

もともと、マンドラゴラはナス科マンドラゴラ属の植物として実在しているもので、ニンジンに似た根っこには幻覚、幻聴を伴う神経毒が含まれていて、麻薬として、あるいは睡眠薬として、古くから薬草として用いられてきた。古代エジプトの王妃クレオパトラーも愛飲していたとされる。実際に、根っこが人間に似た形になることもある。

その劇的な毒の効力と、根っこの特徴的な形から、さまざまな伝説が付加されるようになり、中世の頃には、錬金術や魔術と強く結びつけられるようになった。シェイクスピアも『ロミオとジュリエット』や『オテロー』などでマンドラゴラに言及している。また、古代ローマのプリーニウスも『博物誌』(77年)の中でマンドラゴラースとして紹介している。

亜種のアルラウネは未来を予言する!?

ドイツ伝承に登場するアルラウネもマンドラゴラの一種で、根っこは人間の形をしているが、アルラウネの場合は、どちらかと言うと、根っこを大切に飼育して、未来を予言させたり、誰かの秘密を暴露させるのに用いられる。

《参考文献》

Last update: 2023/09/23

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