カーバンクル
分 類 | ヨーロッパ伝承 |
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Carbuncle(カーバンクル)《石榴石》【英語】 ※ carbunculus(カルブンクルス)《小さな石炭》【ラテン語】 | |
容 姿 | |
特 徴 | |
出 典 |
赤い宝石を額につけた幸福の獣?
16世紀、スペインの探検家にして司祭のマルティン・デル・バルコ・センテンラは南米を探検中、パラグアイに立ち寄り、そこで額に真っ赤に輝く宝石をつけた生物を目撃したという。彼はその不思議な生物を追って森の奥地へと踏み込んでいくが、結局、その生物を捕まえることはできなかったという。この不思議な生物がカーバンクルである。
カーバンクルというのは、ラテン語で《小さな石炭》を意味するcarbunculus(カルブンクルス)に由来するものと思われる。燃えるように赤い額の宝石からの命名だろう。その後、多くの探検家たちがパラグアイに出向き、カーバンクルを探したが、結局、誰もその生物を発見できなかった。
その珍しさからか、やがて、カーバンクルの額についている宝石にはさまざまな伝説が囁かれるようになる。曰く、額の宝石を手に入れれば幸福が約束されるとか、富や成功が得られるというのである。
カーバンクルってどんな姿なの?
マルティン・デル・バルコは、自らの著作『アルゼンチン』の中で、額に赤い宝石がついた生物ということだけで、その生物の容姿など、詳しいことを記述していない。そのため、さまざまなカーバンクルが想像されてきた。「ファイナルファンタジー」シリーズでは緑色の毛をはやした哺乳類の怪物として、「女神転生」シリーズでは南米の精霊として、そして『魔導物語』ではウサギのように耳の長いかわいらしい小動物として描かれた。この『魔導物語』のカーバンクルのカーくんは、主人公アルル・ナジャの相棒として、「ぷよぷよ」シリーズのマスコットキャラクタのようになっている。カーくんは額の宝石からビームを放出する。この強烈なイメージのお陰か、近年では、カーバンクルといえば、赤い宝石を額に埋め込んだ小型のかわいらしい哺乳類として描かれるようになっている。「ファイナルファンタジー」シリーズも、初期は大型の哺乳類として描かれていたが、次第に小動物として描かれるようになっている。
ちなみに現在ではガーネット(石榴石)の一種である赤い宝石のことを指してカーバンクルと呼ぶことも多い。
赤い宝石の眼を持つフランスの竜ヴイーヴル
フランスにはヴイーヴルという竜の伝承がある。伝承によれば、この竜の眼窩には、ルビーやガーネットのような真っ赤な宝石が嵌め込まれているという。ヴイーヴルは普段、洞窟の奥に棲息していて、宝石の眼を明かりに暗闇の中を移動している。この竜の眼を盗んだ者は大金持ちになれるとして、たくさんの人がこの竜を探したという。一説によれば、この竜は水を飲むときに宝石を外すとされ、そのときがヴイーヴルの眼を盗む最大のチャンスとされた。
時代が経つと、いつの間にか、ヴイーヴルは精霊メリジューヌ伝承の影響を受けながら、竜から美しい女性の精霊へと姿を変えていく。美しい女性の怪物ヴイーヴルは、額に赤い宝石をつけていて、この宝石を奪わった人間に絶対服従すると信じられるようになった。
《参考文献》
Last update: 2010/02/14