ソール

分 類北欧神話
名 称 Þórr(ソール)【古ノルド語】
容 姿赤髭。
特 徴雷神。戦神。結婚と豊穣を司る。
出 典スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか

豪快で陽気な農民たちの雷神ソール!?

ソールは北欧神話に登場するアース族の一人で、雷神にして天候神である。オージンと大地の女神ヨルズの子とされる。赤い髭(ひげ)を生やした巨漢で描かれる。全てを粉砕する槌(ハンマー)であるミョッルニルと、その特殊な槌の柄を握るために必要な鉄の手袋であるヤールングレイプ、そして全身の力がみなぎる腹帯のメギンギョルズというアイテムを持っている。性格は直情型で怒りっぽく、頻繁に巨人(ヨートゥン)に喧嘩を吹っ掛け、アースガルズの城壁を築いた無名の巨人、フルングニルスリュムなど、さまざまな巨人を打ち倒している。

ミョッルニルは、戦いの道具としてだけでなく、結婚と出産を祝福する道具としても使用され、ソールは結婚と農作物の実りを守護する。その意味では農耕神である。大食漢で大酒呑みで、単純で愚直な神で、農民階級に篤く信仰された。本来、オージンと並ぶほど勢力のある神だったようだが、貴族階級の台頭により、オージンの子供にされてしまった。

しばしば、2頭のヤギに牽かれた戦車に乗った姿でも描かれる。この戦車が走る轟音がしばしば雷鳴だと考えられた。ソールは空腹になると、2頭のヤギを食べたが、骨と皮が無傷で残っていれば、このヤギは何度も復活し、再び戦車を牽いた。

「Þ(ソーン)」はアルファベットにない文字であるため、ドイツ語などでは「T(テー)」に置き換えられたため、日本ではしばしば「トール」とも呼ばれている。もしかしたら、「トール」の表記の方が、一般にはよく知られているかもしれないが、ウェブサイト「ファンタジィ事典」では原音に近い形で「ソール」とした。

ソールとヨルムンガンド!?

この世をぐるりと取り囲む世界蛇ヨルムンガンドとソールは因縁の関係である。『ギュルヴィたぶらかし』ではウートガルザ・ロキの館で猫に変身させられたヨルムンガンドを持ち上げようとし、『ヒュミルの歌』ではヒュミルの館を訪れてヨルムンガンドを釣り上げようとするなど、何度もヨルムンガンドと対決している。ラグナロクの際、ソールはヨルムンガンドと一騎討ちし、ミョッルニルでヨルムンガンドを血祭りにあげた。しかし、そんなソールもヨルムンガンドの吐く毒にやられて、9歩退いた後にその命を落とし、最終的には両者、相討ちとなる。

木曜日はソールの日!?

木曜日のことを英語で「Thoursday」というが、これは《ソールの日》という意味で、しばしばギリシア・ローマ神話のゼウス、あるいはユーッピテルと同一視される。ちなみに水曜日がオージンの日、火曜日がティールの日、木曜日がフリッグの日、あるいはフレイアの日である。

《参考文献》

Last update: 2023/04/01

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