ヨルムンガンド
分 類 | 北欧神話 |
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Jǫrmungandr(ヨルムンガンド)《大いなる怪物》【古ノルド語】 Miðgarðsormr(ミズガルズオルム)《ミズガルズ蛇》【古ノルド語】 | |
容 姿 | 世界をぐるりと1周して自分の尾をくわえられるほどの巨大なヘビ。 |
特 徴 | 世界蛇。何度もソールと戦い、ラグナロクのときにはソールと相討ちになる。 |
出 典 | スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか |
この世界をぐるりと取り囲む大蛇!?
ヨルムンガンドは北欧神話に登場する巨大な大蛇の怪物である。ロキと女巨人アングルボザの子供で、兄弟にはフェンリルとヘルがいる。生まれてすぐに、災いをもたらすと予言されたため、神々に海に捨てられた。しかし、その後、どんどん大きくなり、やがてこの世界をぐるりと取り巻いて自分の尻尾をくわえられるほどに大きくなった。
雷神ソールとは因縁の関係で、神話の中で何度も対決することになる。一度目はソールが仲間たちとヨートゥン族(巨人族)のウートガルザ・ロキの館を訪問したときだ。ウートガルザ・ロキは幻術に長け、ヨルムンガンドを巨大な猫に見せかけて、ソールにこれを持ち上げるように言った。ソールは何も知らずに挑み、必死で持ち上げたが、片足しか持ち上げられなかった。しかし、ウートガルザ・ロキは内心、ものすごく驚いていた。
二度目の対決はソールがヒュミルの館を訪れたときだ。歓待されたソールたちは準備されていた食事を平らげてしまい、ヒュミルは提供する食事がなくなったと不平を述べる。そこで、ソールはヒュミルを釣りに誘う。沖合に出たときに、これ以上進むとヨルムンガンドの領域に入るということでヒュミルは嫌がるが、ソールは沖まで漕ぎ出す。そして、巨大なウシの頭を餌にヨルムンガンドを釣り上げようとする。餌に食いついたヨルムンガンドが海面に顔を出したり沈んだりするのを見て、ヒュミルは恐ろしくなって釣り糸を切ってしまう。こうして、ヨルムンガンドは海底に逃げてしまった。
そして、三度目の対決はラグナロクである。ヨルムンガンドは激しい津波を起こしながら、毒の息を吐いて陸地に攻めてくる。これに対抗するのはソールである。ソールはミョッルニルで殴ってヨルムンガンドを血祭りにあげる。しかし、その後、9歩退いたところで斃れる。結局、ソールもヨルムンガンドの毒によって死に、両者の対決は相討ちという結果に終わるのである。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『エッダ ―古代北欧歌謡集』(訳:谷口幸男,新潮社,1973年)
Last update: 2023/04/01