ヌゥト

分 類エジプト神話
名 称 𓏌𓏏𓇯 〔nwt〕(ヌゥト)【古代エジプト語】
容 姿胴体に星、体内に水が描かれる。
特 徴天空の女神。ゲブ(大地)との間にウシル、アセトなどを産む。
出 典

天空の女神、太陽神が体内を航行する!?

ヌゥトはエジプト神話の天空の女神。天を表現しているため、アーチ状の姿勢で大地を覆った姿で描かれることが多く、胴体には星が散りばめられている。体内に水を示す波線が描かれることもある。イウヌゥ(ヘリオポリス)の創世神話によれば、大気の男神シュウと湿気の女神テフヌゥトの夫婦から、大地の男ゲブとともに誕生し、ゲブと夫婦になって、ウシル、アセト、セテク、ネベトフゥトを産んだ。ゲブ(大地)とヌゥト(天空)が抱き合って離れないため、シュウ(大気)は無理矢理、二人の間に入り、天と地を引き離した。横たわるゲブ(大地)の上にシュウ(大気)が立ち、両腕を持ちあげてヌゥト(天空)を押し上げている図像はよく知られている。ヌゥトは指先と足先だけでゲブ(大地)と触れ、アーチ状にゲブ(大地)に覆いかぶされっている。

彼女の体内には水が描かれていることがあるが、これはヌゥトが天の海であることを示している。毎日、ヌゥトは口から太陽を飲み込み、朝になると、太陽を生み出す。夜の間、太陽神ラーは彼女の体内を航行する。ヌゥトは太陽の再生に関与していると考えられ、人間の葬儀にも結びつけらえるようになった。しばしば、棺の内側にヌゥトが描かれる。

ゲブとヌゥトが抱き合って離れなかった一件に、祖父で創造神のテム(アトゥム)は腹を立て、ヌゥトが5人の子供を身籠った際、ヌゥトに1年の内のどの日にも子供を出産してはならないと告げた。ヌゥトが苦しんでいるのを見た知恵の神ジェフウティ(トト)は、5日の閏日をつくり(それ以前は1年間は360日だった)、閏日に子供を順番に産み落とした。これがウシル(オシリス)アセト(イシス)セテク(セト)ネベトフゥト(ネフティス)、そしてヘル=ウル(大ホルス)が生まれ、1年は365日になったという。

《参考文献》

Last update: 2019/07/15

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