ジェフウティ(トート)

分 類エジプト神話
名 称 𓅝𓏏𓏭 〔Ḏḥwtj〕(ジェフウティ)【古代エジプト語】
容 姿トキの頭部を持った男神。あるいはマントヒヒの姿。
特 徴知恵の神。文字を発明し、書記を守護する。月神。暦を司る。
出 典

知恵の神、文字を発明し、暦を調整する!?

ジェフウティはエジプト神話に登場する知恵の神。古代ギリシア語の「トート(トト)」という呼称の方がよく知られている。ケメヌゥ(ヘルモポリス)で崇拝された創造神で、トキ、あるいはマントヒヒの姿をした神として描かれる。文字を発明し、書記を守護する神とされた。

イウヌゥ(ヘリオポリス)の創世神話では、テム(アトゥム)と同様に自らの力で生まれたとする。セテク(セト)の額を割って誕生したとも信じられている。これはヘル(ホルス)とセテクが王権を巡って争っているときに、ヘルが自らの精液をセテクの食べ物に混ぜた。これをセテクが誤って食べ、そして身籠ったという。そして額を割ってジェフウティが誕生したという。ギリシア神話のアテーナーゼウスの額から誕生した知恵の女神であるから、関連があるのかもしれない。また、ケメヌゥ(ヘルモポリス)では、世界を創造した8柱の神々(ヘビとカエル)によって作り出されたとされる。

テム(アトゥム)がヌゥト(天空)の出産の際に、子供を産むことを禁じた。そのとき、ジェフウティが月と将棋をさして勝利し、太陽神の管理できない閏日を5日間作り出し、その間にヌゥトを子供を産むことができたとされる(それまでは1年は360日だったが、ジェフウティによって365日になった)。こうして、ウシル(オシリス)、セテク(セト)、ヘル=ウル(ハロエリス)、アセト(イシス)ネベトフゥト(ネフティス)の5人の神々が生まれた。こうして、ジェフウティは月神としても崇拝されるようになった。

ジェフウティは大抵の場合、トキの姿で描かれるが、しばしば、マントヒヒの姿で描かれる。これはヒヒを聖獣とする知恵の神ヘジュ=ウルとの習合によるものである。

ローマ帝国時代には、ギリシア神話のヘルメースと同一視された。ケメヌゥが「ヘルモポリス」と呼ばれるのも、これに由来する。すなわち、「ヘルメースの町」という意味である。ヘルメースと同一視されることで、ヘルメス・トリスメギストスと呼ばれるようになった。ヘスメース思想では、古代エジプトの知恵がタロットに残されたと信じられたため、タロットは「トートの書」とも呼ばれた。

《参考文献》

Last update: 2020/04/25

サイト内検索