英彦山豊前坊
分 類 | 日本伝承 |
---|---|
英彦山豊前坊(ヒコサンブゼンボウ)【日本語】 | |
容 姿 | 大天狗。烏天狗。 |
特 徴 | 九州の天狗の元締め。天狗倒しの名人。 |
出 典 | 『天狗経』(年代不詳)ほか |
九州の天狗の元締め!?
英彦山豊前坊(ひこさんぶぜんぼう)は福岡県と大分県の堺にある英彦山(ひこさん)の天狗。単に豊前坊とも呼ばれる。『天狗経』に書かれている四十八天狗にも名前が挙げられ、八天狗にも名前を連ねている。九州の天狗たちの元締めとされる。
霊力が抜群で天狗倒しで有名である。天狗倒しは、深山で深夜に突然すさまじい原因不明の大音響や木を切る音、倒れる音が聞こえるもので、翌日様子を見に行くと何も変わっていない。英彦山ではこの天狗倒しがよく起こり、それは英彦山豊前坊の仕業だとされる。欲深く奢った人間に対しては小天狗を飛ばせて子供をさらったり、家に火をつけるなど鉄槌を下し、一方で心正しく信仰する人間には家来の天狗たちを集めて願い事を遂げさせ、身を守ると伝えられてきた。
英彦山(標高は1,199m)は山伏の修験道場として古くから武芸の鍛錬に力を入れ、最盛期には数千名の僧兵を擁し、大名に匹敵する兵力を保持していた。山そのものを「英彦山大権現」として信仰していたが、その主祭神はアマテラスの子・オシホミミである。アマテラスの孫のニニギが高天原から葦原中津国に降り立ったとき、後からオシホミミも降り立って、息子を見守ろうとしたという。オシホミミが降り立った場所が英彦山だとされ「日の子の山」であることから英彦山と命名されたという。従って、英彦山大権現はオシホミミとしても崇拝された。明治の神仏分離令・修験禁止令により社名が高住神社に変わり、山伏の多くは山を下りたが、現在でも修験者たちの信仰を集めている。
お土産用に赤や緑の烏天狗の土鈴が販売されている。
(参考)八天狗とは
八天狗といえば、京都の愛宕山太郎坊、滋賀の比良山次郎坊、京都の鞍馬山僧正坊、長野の飯縄山三郎坊、神奈川の大山伯耆坊、福岡の英彦山豊前坊、奈良の大峰山前鬼坊、香川の白峯相模坊の8人の強力な天狗のこと。その中でも、愛宕山太郎坊がその筆頭である。
《参考文献》
Last update: 2021/04/04