大峰山前鬼坊
分 類 | 日本伝承 |
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大峰山前鬼坊(オオミネサンゼンキボウ)【日本語】 那智滝本前鬼坊(ナチタケモトゼンキボウ)【日本語】 | |
容 姿 | 大天狗。元々は赤鬼。烏天狗のような姿で描かれることが多い。 |
特 徴 | 吉野から熊野に至る修験道の霊場を守護する大天狗。その正体は役小角に仕えた前鬼。 |
出 典 | 『天狗経』(年代不詳)ほか |
鬼も修行をすれば天狗になる!?
大峰山前鬼坊(おおみねさんぜんきぼう)は奈良・吉野の南に位置する大峰山と、それに連なる山岳地帯に棲む天狗。単に前鬼坊、あるいは那智滝本前鬼坊と呼ばれることもある。『天狗経』に書かれている四十八天狗に名前が挙げられており、八天狗にも名前を連ねている。
吉野から熊野に至るまでは「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」と呼ばれる修験道の修行の道がある。靡(なびき)と呼ばれる行場(霊場)が各所にあり、修験者は順にこれらの行場を巡って修行する。1,000~1,900m級の険しい峰が続く約80kmの古道であって、修験道の開祖とされる役小角が8世紀初頭に開いたとされる。前鬼坊はこれらの山々一帯を支配する大天狗である。
元々は人々に災いをなしていた前鬼(ぜんき)という赤鬼で、青鬼の後鬼(ごき)を妻に、夫婦で生駒山地(奈良と大阪の堺)に棲みついて悪さをしていた。役小角によって不動明王の秘法で調伏され、改心した。以降、2匹の鬼は役小角に従うようになったという。役小角とともに山を歩き回り、その身の回りの世話をし、警護を務めた。その後、彼らはこの山岳地帯(現在の下北山村)に棲み、そこで5人の子供をなした。そして、子供たちとともに修験者のための宿を山中に建て、代々、宿を営んで、修験者たちを守護し続けたという。現在でも、前鬼・後鬼の墓とされるものが下北山村には残されており、彼らの子孫がこの山岳地帯で宿を営んでいる。
(参考)八天狗とは
八天狗といえば、京都の愛宕山太郎坊、滋賀の比良山次郎坊、京都の鞍馬山僧正坊、長野の飯縄山三郎坊、神奈川の大山伯耆坊、福岡の英彦山豊前坊、奈良の大峰山前鬼坊、香川の白峯相模坊の8人の強力な天狗のこと。その中でも、愛宕山太郎坊がその筆頭である。
《参考文献》
Last update: 2021/03/28