2025年1月20日 需要と供給
「ご趣味は何ですか」と問われることがある。相手との関係性によって答え方はケース・バイ・ケースだが、ボクの趣味は「妖怪研究」と「創作活動」、そして「ウェブサイト運営」なのだと思う。「妖怪研究」と「創作活動」は、それこそ子供の頃から続けている趣味だが「ウェブサイト運営」は大学生の頃から絶えることなく続けているから、きっと趣味なのだろう。
昔はhtmlタグ打ちのウェブサイトにこだわっていた時期がある。途中、blogを取り入れたこともあるし、今は「日々の雑記」だけはWordPressを援用している。それでも、やっぱり、ほとんどのページは今でもhtmlのタグ打ちだ。「ファンタジィ事典」なんかは事典なので、本来はWordPressの方が向いているのかもしれない。でも、現時点では全項目をExcelで管理をしていて、Excelのマクロでメモ帳を立ち上げて、そこにhtmlでベタ打ちするという手法を採っている。
ちなみに、「日々の雑記」はWordPressなので、独自のアクセス解析がついている。こうやって日々、徒然に何かを書くわけだけど、急にアクセスが増えるときもある。最近だと『ダンダダン』に言及した記事を書いたら一気にアクセスが増えた。『ダンダダン』系の単語で検索して訪ねてくる人が多いということなのだろう。ミュージシャンについて書いても多少は伸びる。ファンが検索して来てくれるのだと思う。ちょっと前だとファントムシータについての記事がちょっとだけアクセスが多かった。
まあ、だからそっちに寄せて記事を書いていこうということではない。そうではなくって、こんなに辺境のウェブサイトであっても、ちょっと知名度のあるものを書くだけでアクセスが増えるという厳然たる事実が面白いなと思う。当然、マイナな「フィリピンの妖怪」ばっかり更新していても、ちっともアクセスは増えないのである。
ちなみに、我が家の実績から行くと「日本の妖怪」とか「中国の妖怪」の方が人気がある。でも、残念ながら、ボクはあんまり得意なジャンルじゃない。だから、更新頻度は少ない。「ベトナムの妖怪」は、他の記事に比べれば、アクセスがわずかばかり増える。どういう理由なのかは現時点では定かではない。どこかしらに需要があるのかもしれない。
2025年1月16日 アジアの妖怪をドドドドン!
アジアの妖怪をドドンと一気に更新した。フィリピンの妖怪からはキスをするだけで仲間を増やす吸血鬼バンキラン、ベトナムの妖怪からはおかしなポーズで空を飛ぶことでお馴染みの吸血鬼マーカーゾン、朝鮮の妖怪からは殺されても尚、運気を向上させてくれる聖獣ミョドゥサ、そしてタイの妖怪からは赤ん坊を守護する獣頭の女神メースーをエントリー。ちょっと本気を出してみた。「今年もアジアの妖怪を頑張る!」と宣言したので、その意気込みを形にして示してみた格好。
フィリピンは英語圏なので、比較的、資料は豊富だし、検索もしやすいし、訳すのも難しくはない。ベトナムの妖怪はベトナム語、朝鮮の妖怪は朝鮮語、タイの妖怪はタイ語のウェブサイトを参照して調査をしたので、結構、頭の中がぐるぐるしている。でも、とてもドーパミンがドバーっと出て、楽しい時間だった。結構、雑には扱わずに、丁寧に裏取りをしながら調べたので、それなりの品質の立項になっていると思う。
マーカーゾンは足の親指を鼻の穴に突っ込んで飛ぶので、近いうちにイラストに描き起こしたいと思う。ミョドゥサも文献だけ見ると子ネコの頭にヘビの身体と記されているんだけど、最近の子供向けの韓国アニメでは、でっぷり太った胴体の長いネコとして描かれているので、ちょっとそういう要素も取り込みつつ、イラスト化したいなと思う。妄想は膨らむなあ。
2025年1月14日 ベトナムのマーとクイ
ベトナムの妖怪については、基本的にはズイ・ヴァン氏のウェブサイト「Ma Quỷ Dân Gian Ký」(ベトナム語)を参考にしている。水木しげるが描く妖怪に感銘を受けて、ベトナムで妖怪を蒐集し、イラストに描き起こしている人物だ。最近、日本でも取り上げられることがある(ベトナムスケッチ:ズイ・ヴァンが紐解くお化けの話など)。
そんなこともあって、ベトナム妖怪の調査にも精を出しているところで、ベトナム語も少しだけ勉強し始めた。ベトナム語は漢字文化圏のひとつだ。文字コード的にもCJKVとして体系化されている。中国、日本、韓国はよく知られていると思うけれど、4番目の「V」はベトナムの「V」である。現在のベトナム語では、文字はフランス語みたいにアルファベットにいろいろと装飾がついたみたいな感じになっている。でも、音を元を辿れば漢字に直せるものがほとんどだ。
たとえば、マーライとかマーヴーザーイなどの「マー」というのは漢字にすれば「魔」であるし、クイモッゾーの「クイ」は「鬼」である。ベトナム語の妖怪関連のウェブサイトを回っていると「マー」と「クイ」が併記されている表現が多い。「ma đưa lối, quỷ dẫn đường」(マーが道を示して、クイが道で導く)という表現はベトナムではよく知られた言葉らしい。
面白いのは、ベトナム語と中国語で意味が逆転しているところだ。中国語だと「鬼」は死者であり、幽霊だ。日本語にもその名残があって「鬼籍に入る」とか「鬼門」などは、この中国の鬼の《霊》という意味が残っている。一方の「魔」というのは「悪魔」とか「魔神」とか「魔物」という意味である。これがベトナム語では逆になっていて、マーが幽霊で、クイが魔物になっている。いつの間にか意味が逆転しているのが面白い。
そんなことをベトナム語を学びながら、ベトナム語のウェブサイトを散策しながら、楽しんでいるところである。
2025年1月12日 朝鮮半島で一括り
「ベトナムの妖怪」と「朝鮮の妖怪」を更新してみた。
ベトナムの妖怪は「クイモッゾー」。一本足で毛むくじゃら。森の中を跋扈する妖怪だ。タイの森にはピー・コンコーイがいるし、日本の山の奥には「山精」がいる。どちらも一本足だ。森や山の奥深くには、こういう一本足の妖怪が潜んでいるのかもしれないなあ。
朝鮮の妖怪として今回、チョイスしたのは「シンギウォンヨ」だ。「バラバラの実」を食べたバギーみたいな妖怪で、天井の梁に姿を現し、ボトリ、ボトリと手や足、頭などがバラバラになって降ってくる。想像するにとても怖い。そして、それを見た人は驚いて死に至ることもある。
ちなみに「朝鮮の妖怪」については全体的にかなり改訂した。もともとは「韓国の妖怪」というタイトルで打ち出していたし、妖怪の名称の原語も「韓国語」という風に表現していた。でも、最近、韓国の歴史とか韓国語をよくよく勉強してみると、どうも「韓国」という定義は厳密ではないっぽいと印象を受けた。もっと大きな括りで「朝鮮」にしてやらないと、歴史的につながっていかないし、言葉だって、厳密には韓国語ではなくて朝鮮語だ。韓国語としてしまうと、それなら北朝鮮で話されている言葉は何なのだという問題が生じる。たまたま現代の我々に馴染みがある国が韓国なのであって、韓国で話されている言葉を学んでいるだけだ。
そんなわけで、ウェブサイト「ファンタジィ事典」では、「韓国の妖怪」を改め「朝鮮の妖怪」とし、韓国語を改め朝鮮語とした。別に韓国を軽んじているわけではない。「韓国の妖怪」と限定してしまうと「北朝鮮の妖怪」も定義しなければいけなくなる。でも、それって大部分が同じものである。
たとえば、キジムナーを「沖縄の妖怪」として捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか、コロポックルを「北海道の妖怪」と捉えるか「日本の妖怪」と捉えるか。まあ、ね。厳密には昔は沖縄には琉球王国があったし、北海道にはアイヌの人々が暮らしているわけで、歴史的にも文化的にも違いがある。でも、今は日本だ。朝鮮半島だって、韓国と北朝鮮に分かれているけれど、第2次世界大戦の前はひとつの国だった。李氏朝鮮という国だった。もっと遡れば、新羅、百済、高句麗に分かれていた。そういう意味では、朝鮮半島を一括りにした方が妖怪を整理しやすいんだと思う。
2025年1月8日 文脈を補う難しさ
ウェブサイト「ファンタジィ事典」を更新する際に、どの妖怪を選んで調査し、更新するかというのは、常々、悩むところだ。そこで、『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)をランダムに開いて、そのページに出てきた最初の妖怪を更新するというやり方を採用することも多い。何を更新するか考えるのが結構、面倒くさいので、こうやってシステマティックにやることで、考える手間が省けるので、手が止まることなく、黙々と作業ができる。
一方で、それとは別に、東南アジアの妖怪を更新する際には、恣意的に選んでいく作業が必要になる。結構、面倒臭いので、サボりがちになる。これではいかんと思って、久々に「ベトナムの妖怪」の「マーザウ」を更新した。決して、東南アジアの妖怪シリーズをやめたわけではないのだ、というアピールだ。
さて、結構、東南アジアの妖怪は資料が少ないので、多少は想像で補ってやる必要が生じる。たとえば、現地の人にとっては当たり前の感覚とか習慣、文化みたいなものが、日本人であるボクたちには分からない。地理とか歴史も分からない。そういうのが文章で省略されている可能性もある。あんまり、現地の感覚から外れると嫌なので、必死になって行間を読む努力をするし、いろいろと別の文献を調査して、想像力を高めてやる必要もある。そうやって補って、何とか形にしている。
最近、『ダンダダン』がアニメ化されて、海外に輸出されているが、モモの友人のムーコ(原作だとケイなんだけど)がどこまで海外で正しく理解されているかは謎だ。ボクたち日本人はムーコを見ると、ガングロとかヤマンバとか、当たり前に「ギャル」だと認識する。でも、多分、海外の人はムーコが何なのかよく分からないのではないか。一部ではポリコレの主張のネタにされて、ムーコは黒人の声優が担っている。実は、息子のツクル氏も、ガングロとかヤマンバという文化が分からないので、ムーコがよく理解できないらしい。
つまり、こういうことが東南アジアの妖怪を調査するときにも生じるわけだ。フィリピン人やベトナム人、タイ人にとっての常識が、ボクたちには常識じゃない。認識のズレやギャップがあって、うまく翻訳できていない可能性はある。そういうのを、どこまで想像力で補えるか。そんな挑戦を常々、やっている。
ちなみに、ボクが東南アジアの妖怪を日本語に翻訳して紹介すると、あっという間にピクシブ百科に転載される。ボクはこういう妖怪たちの知名度が上がることを願っているので、まあ、よいのだけれど、でも、正しさの保証はないので、大丈夫かな、と心配になる。現地の人からしたら、それこそ「ムーコは黒人」みたいな全く的外れな解説になっている可能性だってあるのだ。
2024年9月27日 チャオドイノンメを描いてみた。
ようやく念願のベトナムの妖怪にも着手している。第1弾が首だけお化けの「マーライ」で、第2弾として「チャオドイノンメ」を描いてみた。ベトナムでは長生きしたイヌはやがて霊力を得て、妖怪になるようだ。さらに長生きして霊力を得るためには血が必要で、周辺の家畜を襲う。ときには人間も襲う。屋根の上にチャオドイノンメが現れたら、その家の人間の魂が吸われている。やがて家人は死に至る。
面白いのは、チャオドイノンメが小動物の妖怪たちの親玉ということだ。ネコやフクロウ、アヒル、ニワトリなどの妖怪たちを率いて、屋根の上で作戦会議をしているらしい。
2024年9月3日 マーライを描いてみた。
ベトナムの妖怪第1弾として「マーライ」を描いてみた。今後は徐々にベトナムの妖怪もイラスト化して認知度を上げていきたいと思っている。
さて、マーライは昼間は人間として暮らしていて、夜になると臓器とともに頭が抜け出し、空を飛ぶ。こういう首と臓器だけの妖怪と言えば、東南アジア各地にいて、たとえば、タイのガスーやインドネシアのペナンガラン、フィリピンのウンガウンガなどが知られている。どれも昼間は人間として暮らして、夜になると首と臓器が抜け出す。
他の首&臓器妖怪とマーライが大きく異なるのは、マーライの場合、直接、人間を襲わないとされている点だ。マーライは主に排泄物を狙うらしい。マーライに排泄物を食べられた人は腸の病気になり、やがて重篤化して死んでしまう。つまり、人間の排泄物を介して、マーライは人間に作用するわけである。
いずれはタイのガスーも描いてみたいなと思っている。結局、首と臓器という意味では同じデザインなんだけど、ガスーの場合、人間とガスーの悲恋みたいなものが展開されるので、妖艶な美女で描けば、少しは差異化できるのではないか。ふふふ。
2024年7月28日 ベトナムの妖怪を緩やかに更新中。
MA QUỶ DÂN GIAN KÝはベトナム語のウェブサイトだが、今は機械翻訳が優秀なので、熱意さえあれば何とか解読はできる。というわけで、ベトナムの妖怪を2体更新してみた。マーヴーザーイとチャオドイノンメだ。
マーヴーザーイは長い乳房を持つ女性の妖怪で、赤ん坊に乳をやらなければならないという執念にとりつかれていて、結果、赤ん坊を窒息させてしまう。一方で、若い男性を誑かす存在でもある。長い乳房を持つ点では、インドネシアのウェウェゴンベルに似ている。ウェウェゴンベルは赤ん坊に対しては優しいが、赤ん坊をさらってしまう悪癖がある。マーヴーザーイはヤシの木やココナッツの木などの高い木の上に棲んでいるが、ウェウェゴンベルもパームヤシの木の上に棲んでいる。一方、アルゼンチンやボリビアのサッパン・スックーンも長い乳房を持つ妖怪で、どこに棲んでいるのかは誰も知らないが、どこからかやってきて、仕事中の母親に代わって赤ん坊の世話をしてくれる。けれども、仕事をサボる男性を連れ去るという悪さもする。何となくこの三者は似ている感覚がある。
チリやアルゼンチンの首だけで空を飛ぶチョンチョンが、タイのグラスーやフィリピンのマナナンガル、ベトナムのマーライに似ているので、暮らしとか文化の中に、何らか同じような要素があるのかもしれないよなあ。
チャオドイノンメは破れた編み笠をかぶったイヌの妖怪で、まさに「長く生きた獣は霊力を得て妖怪と化す」という中国や日本の妖狐や猫股などのイメージに近い。面白いのは、ベトナムではネコやアヒルやニワトリなどの獣も妖怪と化す中で、チャオドイノンメが彼らのリーダー格であるという点。そして、月夜に屋根の上に登って人間の魂を吸う点だ。非常に幻想的。
2024年7月10日 ベトナムの妖怪!?
ベトナムの妖怪について調べていたら『MA QUỶ DÂN GIAN KÝ』という本が出版されていることを知る。これ、ベトナムの本なので、当然、ベトナム語だし、ベトナム国内で流通しているものなので、日本では手に入らないんだと思う。でも、とても興味がある。人づてにうまく手に入らないかなあ。奥さんがベトナム人の知人がいるので、その人つてに調達してみようかなあ。うーん。
で、調べていたら、作者がfacebookをやっていた(参照)。そこにたくさんのベトナムの妖怪が詳細に載っていたので、それを足掛かりにインターネットの海を探索開始だ。……というわけで、早速、3項目を更新してみた。しつけお化けのオンケー、首だけお化けのマーライ、空き缶お化けのマーロンである。
徐々にベトナムの妖怪も埋めていければよいなと思っている。