ラーヴァナ
分 類 | インド神話 |
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रावण 〔rāvaṇa〕(ラーヴァナ)【サンスクリット】 | |
容 姿 | 10の頭、20の腕を持つ魔族。 |
特 徴 | ラークシャサ族の王。三界を支配し、ラーマ王子と戦って敗れた。 |
出 典 | 『ラーマーヤナ』(3世紀)ほか |
天界、人間界、地下世界の三界で暴れ回った魔王!?
ラーヴァナはインド神話の叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する魔王。10の頭、20の腕を持つ巨人で、ランカー島(セイロン島)を本拠地にして、人喰いのラークシャサ族(魔族)の王として彼らを率いていた。アスラ族の娘との間にメーガナーダを儲けた。富と財宝の神クベーラとは異母兄弟である。
その昔、ラークシャサ族は傲慢さからランカー島を追われた。ラーヴァナはラークシャサ族の再興のため、1,000年間、苦行に励んだ。その苦行の方法とは、10個の頭をひとつずつ切り落として火にくべていくもので、最後に残ったひとつを切ろうとしたとき、ブラフマー神が現れた。ブラフマーは善悪を問わず、熱心に修行をすると、願いを叶えてくれる存在なので、ラーヴァナにも望みを聞いた。ラーヴァナは不死を願ったが、自然の摂理に反するということで、最終的にブラフマーは「ラーヴァナは神々には倒されない」という絶大な特権を与えた。
ランカー島を治めていた兄弟のクベーラと激しく戦い、父の仲裁によって、クベーラ神はカイラス山に退き、ラーヴァナはランカー島を得た。そして、ラークシャサ族とそこに棲み憑いた。
その後、ラーヴァナは神々との戦いに乗り出す。ラーマの生まれた国であるアヨーディヤーを荒廃させると、冥界に侵入した。そして、天界にも侵入し、神々の王インドラや太陽神スーリヤを敗走させた。こうして、ラーヴァナは天界、人間界、地下世界の三界で暴れ回った。ラーヴァナは、王や聖仙、半神たちから次々と妻や娘を奪うと、ランカー島に連れ去った。
神々はヴィシュヌ神に助けを仰いだ。ラーヴァナは神々では倒すことができないため、ヴィシュヌ神は人間であるラーマ王子に化身した(アヴァタール)。ラーヴァナがラーマ王子の妃シーターを奪ったため、ラーマ王子はシーターを取り戻す旅に出た。ラーマ王はヴァナラ族(猿族)を味方につけてラーヴァナの軍勢を倒すと、遂にラーヴァナとの一騎打ちとなった。ラーマがいくら首を刎ねても、ラーヴァナの首は何度も再生してなかなか倒すことができない。ようやく、ブラフマーの矢(ブラフマーストラ)で射て退治した。
なお、あちこちで暴れ回っていた悪評高いラーヴァナではあるが、彼が統治していたランカー島そのものは、住民が飢えることがなく、住民からは慕われていたという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2020/09/21