グリゴリ

分 類ユダヤ・キリスト教
名 称 grigori(グリゴリ)【英語】
ἐγρηγορός(エグレーゴロス)《見張る者》【古代ギリシア語】
容 姿堕天使。
特 徴地上を監視する天使の一団。人間の娘を妻に死、禁じられた技術や知識を人間に教え、人間との間に巨人を儲けた。
出 典『エノク書』(前2~前1世紀)ほか

地上を荒廃させた天使の一団!?

グリゴリは神によって人間を監視する役目を与えられた天使の一団である。古代ギリシア語で《目覚めている者》を意味するspan class="greek">ἐγρηγορός(エグレーゴロス)に由来する。要するに「眠らない者」、転じて「見張る者」という意味である。英語では単にwatchers(ウォッチャーズ)とも呼ばれている。

旧約聖書偽典『エノク書』(前2~前1世紀)によれば、グリゴリたちは地上を監視しているうちに、次第に人間の女性に恋心を抱くようになった。そして、指導者のシェミハザを筆頭に、総勢200人のグリゴリは互いに裏切らないことを誓い合い、呪い合って、地上に降り立つと、それぞれ人間の女性を妻に娶った。そして、次々にさまざまな禁じられた知識を人間たちに与えたとされる。特にグリゴリの1人であったアザゼルは武器や防具、金属加工や化粧、宝石などの知識を人間に教えたとされ、これによって男性は戦争を始め、女性は必要以上に着飾るようになって、やがて人々は堕落したとされる。

また、グリゴリは人間の女性と交わって子供を儲けた。この天使と人間の間に生まれた子供はネフィリムと呼ばれ、成長すると300キュビット(約140メートル)の巨人になった。彼らはたくさんの食料を必要とし、やがて人間の生産する食べ物では足りなくなり、鳥や獣、そして遂には人間をも喰らうようになり、最終的には巨人同士で共食いまで始める始末であった。

こうして大混乱に陥った地上の惨状を眺めた神は、四大天使を派遣した。ミカエルにはシェミハザとその仲間たちを拘束し、ラファエルはアザゼルを討伐した。ガブリエルはネフィリムたちを互いに争うように仕向けて相打ちにして滅ぼした。そして、ウリエルはノアに方舟をつくるように指示をした。こうして、その後、神は大洪水を引き起こして地上をリセットするに至ったのである。

《参考文献》

Last update: 2024/09/12

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