ネフィリム
分 類 | ユダヤ・キリスト教 |
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Nephilim(ネフィリム)【英語】 Nephilim(ネピリム)【ラテン語】 נְפִילִים(ネフィリム)【ヘブライ語】 | |
容 姿 | 巨人。 |
特 徴 | 天使と人間の間に生まれた。食欲旺盛で人間の食べ物を食べ尽くした後、お互いに共喰いした。神は彼らを絶滅させるために大洪水を引き起こした。 |
出 典 | 『創世記』『民数記』『エノク書』ほか |
天使と人間の間に生まれたのは巨人でした!?
ネフィリムは『旧約聖書』などにその名前が登場する巨人族。名前の意味はヘブライ語で《(天から)落ちてきた者たち》という意味があるとされる。
『旧約聖書』「創世記」の6章では、神の子たち(天使たち)が人間の娘たちの美しさに魅了され、各々が選んだものを妻にしたと記述されている。こうして天使と人間の間に生まれたのがネフィリムで、英雄になったとされる。同じ旧約聖書の「民数記」13章では、カナアンに偵察に行った一隊がモーセに巨人の存在について報告している場面がある。アナク人たちは巨人であり、ネフィリムの子孫なのだという。
人が地のおもてにふえ始めて、娘たちが彼らに生れた時、神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」。そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。
(『旧約聖書』「創世記」6.1-6.7より)
しかし、彼とともにのぼって行った人々は言った、「わたしたちはその民のところへ攻めのぼることはできません。彼らはわたしたちよりも強いからです」。そして彼らはその探った地のことを、イスラエルの人々に悪く言いふらして言った、「わたしたちが行き巡って探った地は、そこに住む者を滅ぼす地です。またその所でわたしたちが見た民はみな背の高い人々です。わたしたちはまたそこで、ネピリムから出たアナクの子孫ネピリムを見ました。わたしたちには自分が、いなごのように思われ、また彼らにも、そう見えたに違いありません」。
(『旧約聖書』「民数記」13章31~33節より)
旧約聖書外典『ヨベル書』の7章21~23節には、巨人たちが人間の娘たちを娶り、そこから生まれたのがネフィリムであると説明されている。ネフィリムたちは互いに共喰いし、殺し合ったという。旧約聖書偽典の『第1エノク書』7章には、グリゴリと呼ばれる天使の一団が地上に降りてきて、人間の娘たちを妻にし、交わったという。ここから体長300キュビット(およそ140メートル)の巨人たちが生まれたという。そして人間たちの食べ物を食べ尽くすと、今度は獣や鳥、そして人間を喰らい、遂には共喰いを始めた。この様子を見た神は大洪水を引き起こし、ネフィリムたちを絶滅させようとしたという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2024/09/11