沙悟淨(シャー・ウージン)

分 類中国伝承(西遊記)
名 称 沙悟淨(沙悟净)〔shā wùjìng〕(シャア・ウゥジィン、シャー・ウージン)【中国語】
沙僧〔shā sēng〕(シャア・セゥン、シャー・ソン)【中国語】
沙和尚〔shā héshàng〕(シャア・ホァシャアン、シャー・ホーシャン)【中国語】
沙悟浄(さごじょう)【日本語】
容 姿赤い髪、青黒い肌の僧侶(ただし日本では河童の姿)。
特 徴流沙河で人を喰らっていたが、三蔵法師の3番目の弟子として天竺への旅に同行した。
出 典『西遊記』(16世紀)ほか

器を割っただけで、転落人生!?

沙悟浄(シャー・ウージン、さごじょう)は中国の四大奇書小説『西遊記』に登場する川の妖怪。元々は天界の役人の捲簾大将で、霊霄殿で天帝に謁見を求める者がいれば、天帝と謁見者の間に入って、天帝を守護する重要な役目を負っていた。天帝の目の前の御簾(みす)の上げ下ろしができるほどの距離で天帝を守護するわけで、とても高い身分だった。ところが、西王母の生誕祭に、天帝の宝である玻璃(水晶)の器を手を滑らせて割ってしまい、その罪で鞭打ち800回の刑を受けて天界を追放された。そして、流沙河に棲みつき、人を喰らう妖怪となった。

三蔵法師の3番目の弟子に!?

あるとき、捲簾大将は、天竺に経典を取りに行く取経者を探していた観音菩薩と遭遇して襲い掛かるが、お供の恵岸行者に阻止され、菩薩の一行だと知ると、平伏して慈悲を乞い、これまでに取経者を9人殺したことを告白する。観音菩薩は次に来る取経者の弟子になるように諭して「沙悟浄」の名を与えた。しかし、三蔵法師一行が流沙河を通ったときに、相手を確かめずに襲い掛かった。三蔵を掠おうとして猪八戒に阻止され、その後、猪八戒と3回戦ったが、勝負がつかなかったので、孫悟空が観音菩薩を呼びに行き、恵岸行者が派遣され、沙悟浄は降参して、三蔵一行の旅に同行した。

沙悟浄は河童!?

沙悟浄は、日本では河童の姿で表現されるが、本来は赤い髪に青黒い肌を持った僧侶の姿をしている。首から9つの髑髏を下げているのは、これまでに殺した9人の取経者のものである。また、半月刀のついた降妖寶杖を持った姿で描かれることが多い。ちなみに、玄奘の旅を綴った『大唐西域記』では「流沙」はタクラマカン砂漠のことで、仏教の守護神で、特に砂漠での危難を救うとされる「深沙大将」に守護されて砂漠を越えたが、沙悟浄のモデルは、この砂漠で玄奘を守護した「深沙大将」だとされる。「深沙大将」は忿怒相を持つ力士像として描かれ、首には髑髏の首飾りを巻いている。後世、「沙」の字がさんずいを持つことから、河だと考えられるようになり、沙悟浄も河の主となった。

《参考文献》

Last update: 2021/05/30

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