河童(カッパ)

分 類日本伝承
名 称 河童(カッパ)【日本語】
別 名ガラッパ、河太郎(カワタロウ)、ガータロー、カワエロ、メドチ、シバテン、猿猴(エンコウ)、エンコ
容 姿子供くらいの大きさ。おかっぱ頭。頭に皿がある。嘴があり、甲羅を持ち、手には水掻き。毛むくじゃらの猿のようなものも。
特 徴相撲とキュウリを好む。人間の生き肝を喰らう。両腕が繋がっていて引っこ抜ける。皿が乾くと死ぬ。

相撲とキュウリを好む水の妖怪!?

河童(カッパ)と言えば、鬼(オニ)天狗(テング)と並んで日本でポピュラーな妖怪である。日本各地の川や湖、沼地に棲む。稀に海に棲むものもいる。一般的にはカメやスッポンのような爬虫類に似た雰囲気で、嘴(くちばし)があり、背中には甲羅を背負い、手の指には水掻きがある。二足歩行のものが多いが、四足歩行で描かれていることもある。地域によっては毛むくじゃらの猿のような姿で想像されている。おかっぱ頭の語源にもなっているように、短く切り揃えられた髪型であることが多く、頭の上には窪んだ皿がある。この皿には水が入っていて、水が乾燥したり、皿が割れたりすると衰弱したり、死んでしまう。キュウリを好み、金物を嫌う。相撲を好み、しばしば河原で相撲を挑んでくる。河童の両腕は1本に繋がっているなどとされ、強く引っ張ると抜けてしまうとされる。子供を川に引きずり込み、肛門から手を突っ込んで尻子玉を抜き、肝を喰らうという恐ろしい側面がある。

水神信仰と河童!?

河童は水神信仰と結びついている。相撲は神事で、土地の代表者が豊凶を祈念して争った。これは神と水の精霊の争いを表現していて、神が水の精霊を打ち負かし、水の確保を約束させるのだという。河童が相撲を好むのは古い水神信仰に由来するとされる。また、初なりのキュウリは水神に捧げられていた。河童がキュウリを好むのも、この水神信仰に由来しているとされる。東北地方で河童のことをメドチというのは、水蛇(ミヅチ)の訛りから来る。アイヌの河童であるミントゥチも同様に水蛇に由来するのだろう。中国の河の神である河伯が日本に伝わって河童になったとする説もある。

河童の起源は草人形!?

河童の起源については様々に研究がされているが、そのひとつに「河童人形化生説」がある。昔、大工が大きな神社を造営する際に、藁などで人形を作り、これに魂を吹き込んで使役し、作業に従事させ、神社が完成すると、不要になった人形を川に流した。これが河童になったというのである。アイヌ伝承のミントゥチにも同様の伝承があって、アイヌの人々を死に追いやる疱瘡神を撃退するため、オキクルミという神さまが蓬(ヨモギ)で人形をつくり、兵隊にして戦わせたというのがあり、この戦いで死んだものがミントゥチになったという。両腕が1本に繋がっていて引っ張ると抜けてしまうというのは、河童がもともと草人形だった名残りなのである。

河童が人間の肛門から手を突っ込んで生き肝を喰らうという恐ろしい側面は、水難事故に関係する。溺死した人間の死体は腹が膨れて肛門がぱっくりと開いてしまう。これを見た昔の人々が、河童が肛門から手を突っ込んで肝を引っこ抜いて喰ったとか、尻子玉を抜いて竜王に貢いだなどと信じたのである。

「河童(カッパ)」という名称は関東の呼び名で、名称は地方によって様々であるが、大体、三系統に区分して説明される。水神信仰に由来し、水蛇(ミヅチ)の訛りであると考えられているメドチ(東北地方)やミントゥチ(北海道)、川と子供を結びつけた河童(カッパ)やカワランベ、河太郎(カワタロウ)(関東地方)、ガラッパ、ガワッパ(九州)、ガータロー、カワエロなど、そして猿や川獺などの小動物にまつわる猿猴(エンコウ)やエンコ、カブソなどである。

ちなみに、最近、河童が目撃されることもあり、未確認動物(UMA)として扱われることもある。河童の正体を宇宙人のグレイだとする説もあって面白い。

《参考文献》

Last update: 2019/11/04

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