豬悟能(ジュー・ウーノン)

分 類中国伝承(西遊記)
名 称 豬悟能(猪悟能)〔zhū wùnéng〕(ヂュウ・ウゥネゥン、ジュー・ウーノン)【中国語】
豬八戒(猪八戒)〔zhū bājiè〕(ヂュウ・バァジエ、ジュー・バージエ)【中国語】
猪悟能(ちょごのう)、猪八戒(ちょはっかい)【日本語】
容 姿黒豚の化け物。
特 徴福陵山で人を喰らい、改心して三蔵法師の2番目の弟子として天竺への旅に同行した。
出 典『西遊記』(16世紀)ほか

雌豚の胎内に入って人喰いの怪物に!?

猪悟能(ジュー・ウーノン、ちょごのう)は中国の四大奇書小説『西遊記』に登場する豚の妖怪。日本では通称の「猪八戒(ちょはっかい)」という呼び名の方が有名である。元々は、天界で天の川を管理し、水軍を指揮する天蓬元帥だったが、女癖が悪く、西王母の生誕祭で、酔った勢いで嫦娥(月の女神)に強引に言い寄り、鎚で2000回打たれる刑罰を受け、天界を追われた。ところが、地上で人間に生まれ変わるはずが、誤って雌豚の胎内に入ってしまい、黒豚の妖怪となって、福陵山で人を喰うようになった。

三蔵法師の2番目の弟子に!?

あるとき、天竺に経典を取りに行く取経者を探していた観音菩薩と遭遇して襲い掛かるが、菩薩の一行だと知ると、慈悲を乞う。観音菩薩は「猪悟能」という名を与えて、取経者の弟子となるように諭した。こうして改心し、人喰いを止め、精進料理だけの暮らしを続けていた。しかし、待ちくたびれ、人里に下りて、商人の高太公の家に強引に婿入りした。家業も励み、家は財をなした。しかし、高太公は、化け物を婿にとったのでは世間的に体裁が悪いと考え、立ち寄った三蔵法師に妖怪退治を依頼した。猪悟能は孫悟空と戦うが、相手が観音菩薩の予告していた取経者の一行だと知ると降参し、三蔵法師に弟子入りした。悟能は目的を達したため、以降、普通に食事をすることを望むが、三蔵は精進料理を食べ続けた悟能に感心し、今後も戒めを守り続けるように諭し「猪八戒」という別名を与えた。

猪の字が用いられているが、元々の中国では、通常、家猪、あるいは単に猪と書けば、豚のことを指す。そのため、近年では、ピンク色の豚で描かれることが多いが、原作では短い毛の生えた黒い顔で、大きな垂れ下がった耳、長い口、尖った牙、黒いたてがみなど、黒豚の特徴を備えている。武器として、九齒釘耙と呼ばれる9本の歯のついた熊手のような農具を持っている。孫悟空とともにたくさんの妖怪たちと戦い、退治している。

《参考文献》

Last update: 2021/05/30

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