クムバカルナ

分 類インド神話
名 称 कुम्भकर्णkumbhakarṇa〕(クムバカルナ)【サンスクリット】
容 姿ラークシャサ族でもっとも大きい巨人。
特 徴大喰らいの巨人。6か月間眠り、1日目覚める。兄への忠誠心からラーマ王子と戦う。
出 典『ラーマーヤナ』(3世紀頃)ほか

ラークシャサ族で一番大きい巨人!?

クムバカルナはインドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する魔族ラークシャサのひとり。魔王ラーヴァナの弟で、拠点であるランカー島では最も巨大な体躯の持ち主で、山ほどの大きさだった。クムバカルナの吐き出す息は強風のようで、怒ると火を吐き出す。また、とんでもない食欲を持つ。しかし、その体躯とは裏腹に非常に善良で、忠誠心がある。

クムバカルナはラーヴァナとともに苦行を続け、遂にブラフマーに認められ、望みを問われた。「インドラの王座(インドラーサナ)」を求めたが、インドラの命令で知恵の女神サラスヴァティーがクムバカルナの舌を操っていたため、「寝台(ニドラーサナ)」と言ってしまった。このため、ブラフマーは彼に永遠の眠りを与えようとしたが、ラーヴァナが異を唱え、6か月間眠って1日目覚めるようにされた。クムバカルナは目覚めると、空腹から人間たちを次々と喰らった。

兄への忠誠心で戦場に赴く巨人!?

『ラーマーヤナ』では、魔王ラーヴァナとラーマ王子が激しく戦ったが、ラーヴァナは次々と味方が殺される状況から、まだ眠っているクムバカルナを戦場に投入することを決める。ラークシャサたちは法螺貝を吹き鳴らし、叫び声を上げたが、クムバカルナは騒音では目覚めない。棍棒で打っても、髪を引っ張っても、耳に水を注いでも目覚めない。そこで1,000頭のゾウをけしかけて、踏みつけさせると、ようやくその足踏みの心地よさから目を覚ました。

クムバカルナは状況を確認すると、ラーヴァナにラーマ王子にシーターを返還するように諫める。しかし、ラーヴァナは聞く耳を持たなかった。仕方がないので、クムバカルナは兄への忠誠心のために出陣する。クムバカルナはラーマ軍に甚大な被害を与えた。ラーマが次々に放つ、インドラの矢とブラフマーの矢で四肢を撃ち落とされ、最後には首を刎ねられ、絶命した。ラーマもクムバカルナの勇敢さを称賛した。さすがのラーヴァナも、クムバカルナの戦死には衝撃を受け、戦意を喪失したが、息子たちに励まされて、再び戦意を取り戻す。

《参考文献》

Last update: 2020/06/06

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