アールヴ

分 類北欧神話
名 称 Álfr(アールヴ)《妖精》【古ノルド語】
容 姿若く美しい妖精。
特 徴フレイを王に戴き、天のアールヴヘイムに暮らす。半神的存在。
出 典スノッリ『散文のエッダ』(13世紀頃)、『詩のエッダ』(13世紀頃)ほか

北欧神話の妖精!?

北欧神話に登場する妖精は「アールヴ」と呼ばれている。アールヴは英語のエルフの語源になっている言葉で、古代北欧においては半神的な存在として崇拝され、豊穣を祈念されていた。男女ともに若く美しい姿で、おそらくはほぼ人間と同じくらいのサイズで想像されていたと考えられている。天にあるアールヴヘイムと呼ばれる国に棲んでいて、『グリームニルの歌』によれば、アールヴたちの王は豊穣神のフレイなのだという。

スノッリ・ストゥルルソンはアールヴを2種類に分類している。ひとつは《光のアールヴ》を意味するリョースアールヴで、もうひとつは《闇のアールヴ》を意味するデックアールヴである。彼によれば、リョースアールヴは天に棲む美しい妖精たちであり、対するデックアールヴは地下に棲む醜いアールヴたちなのだという。デックアールヴは、ドワーフの語源でもあるドヴェルグと同一のものだったようだ。このスノッリの分類が古代北欧人たちの一般的な感覚と合致していたのかは不明であるが、一般にアールヴというのは、スノッリの分類したリョースアールヴのことを指していると言える。

しばしばアールヴは「アース族とアールヴたち」という慣用表現で用いられる。アース族というのは、北欧神話の主神であるオージンが率いている神々の一族のことで、「アース族とアールヴたち」という表現は、アールヴたちがアース族と併記されるような位置付けにあったことを示している。しばしばアース族と並べられるのがフレイやフレイヤが所属するヴァン族である。このことから、アールヴはヴァン族のことだとする説もある。実際、『グリームニルの歌』では、アールヴたちの王はフレイであるとされている。一説では、古代北欧の農民や漁民などの一般の人々はヴァン族やアールヴたちを信仰しており、一部の王や諸侯、貴族がアース族を崇拝していたとされる。アールヴは農民などの一般大衆に根差した小神族だったのかもしれない。

《参考文献》

Last update: 2024/07/14

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