アルベリッヒ

分 類ヨーロッパ伝承
名 称 Alberich(アルベリッヒ)【ドイツ語】
容 姿髭をはやした小人。
特 徴ニーベルンゲン族に仕える。隠れ蓑や指環を所有。
出 典>『ニーベルンゲンの歌』(1200年頃)、『オルドニット』(1230年頃)ほか

アルベリッヒは中世ドイツの神話・伝承に登場するドヴェルグ(小人)である。『ニーベルンゲンの歌』(1200年頃)や『オルドニット』(1230年頃)などの叙事詩に登場する。『シズレクのサガ』(13世紀頃)ではアールフレク(Álfrekr)《妖精の支配者》という名称で登場する。フランス伝承のオーベロンに相当する。ワーグナーは『ニーベルングの指環』(1848-1874年)に登場させている。

ニーベルンゲン族に仕える強力な小人!?

『ニーベルンゲンの歌』では、アルベリッヒはニーベルンゲン族に仕えていた。ニーベルンゲン族は大量の財宝を所有していたが、ネーデルラントの王ジークフリートがやってきたとき、ニーベルンゲン族はこの大量の財宝を一族の中でうまく分配するようにジークフリートに頼んだ。彼は一所懸命分配したが、ニーベルンゲン族は不平を述べ、遂にジークフリートと対立した。ジークフリートは次々とニーベルンゲン族の勇士を倒し、ニーベルンゲン族の二人の王をも征服した。すると、君主の復讐をしようとアルベリッヒが立ちはだかった。彼は姿を隠せる隠れ蓑を持っていたが、ジークフリートはそれを奪うと、アルベリーヒも倒した。アルベリーヒは降参し、ジークフリートの従者となった。そして、ジークフリートに命じられて、アルベリーヒはニーベルンゲン族の財宝の番人となった。

ラインの黄金を支配する小人!?

リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』では、ラインの黄金を手に入れた小人として描かれる。ライン川の水底にはラインの黄金があり、これを手に入れると世界を支配する力を手に入れられるとされた。アルベリーヒはこの黄金を強奪し、この黄金で作った指環でニーベルング族を支配していた。ヴォータン(北欧神話の主神オージンのこと)はフライア(女神フレイヤ)を娶らせることを約束して、巨人ファーゾルトに居城ヴァルハラを建設させるが、フライアが嫌がったため、代わりにラインの黄金で手を打つべく、ローゲ(ロキ)とともにニーベルング族の国を目指す。ローゲの策略と弁舌でアルベリーヒを捕縛する。ヴォータンは捕縛から解き放つ代わりにラインの黄金を渡すようにアルベリーヒに要求する。こうして、ヴォータンはラインの黄金をファーゾルトに引き渡すが、実はアルベリーヒは指環に死の呪いをかけていた。このため、巨人族や英雄たちは指環を奪い合い、悲劇が各所で巻き起こる。

ここで登場するアルベリーヒは、北欧神話のアンドヴァリを下地にしている。

《参考文献》

Last update: 2020/04/11

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