アンドヴァリ
分 類 | 北欧神話 |
---|---|
Andvari(アンドヴァリ)【古ノルド語】 | |
容 姿 | 小人。 |
特 徴 | 富を生み出す魔法の腕輪を所有していた。 |
出 典 | スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』(13世紀頃)ほか |
「この腕輪を手にしたものは破滅する!!」
アンドヴァリは北欧神話に登場するドヴェルグ(小人族)のひとり。変身能力に長け、富を生み出す魔法の腕輪アンドヴァラナウトを持っていた。
オージンとヘーニル、ロキは旅の途中、誤ってカワウソに変身していたドヴェルグのオトを仕留めた。そして、何も知らずに、オトの父であるフレイズマルの家に立ち寄り、一晩の宿をお願いし、昼間に仕留めたカワウソを見せた。フレイズマルはすぐにそれが息子であることを知り、神々にその賠償を求めた。そこで、神々はカワウソの皮を黄金で満たすことを約束し、ロキは小人アンドヴァリの黄金を手に入れるために彼の元を訪れ、魚に変身して泳いでいたアンドヴァリをラーンの網で捕えると、黄金を引き渡すように強要した。アンドヴァリは黄金を生み続ける腕輪だけは手元に残そうとしたが、ロキに全て巻き上げられた。そこで、アンドヴァリは腕輪を手に入れた者が破滅する呪いを腕輪にかけた。
神々はカワウソの皮を黄金で満たしたが、フレイズマルが「まだ髭が1本出ている」と難癖をつけた。そこで、神々はアンドヴァリの腕輪で髭を覆った。ロキは「不幸が訪れる」と警告したが、フレイズマルは聞く耳を持たず、腕輪も自分のものとした。
腕輪の呪い、発動する!?
黄金はフレイズマルのものとなったが、二人の息子ファーヴニルとレギンが黄金を分けてくれるように父親に要求した。しかしフレイズマルはこれを拒んだ。すると、黄金に目が眩んだ息子のファーヴニルは父親を殺して黄金と腕輪を奪った。今度は弟のレギンが父親の遺産の分け前を要求したが、ファーヴニルはそれを拒み、竜の姿になって黄金を守った。最終的にファーヴニルは英雄シグルズによって退治される。レギンも黄金を狙ってシグルズを罠に嵌めようとするが、竜の血を飲んで鳥の声を聞けるようになったシグルズは事前にレギンの企みを知ってレギンを殺した。こうして、アンドヴァリの財宝は英雄シグルズのものとなる。その後、呪われた腕輪はシグルズから恋人ブリュンヒルドに手渡され、二人の悲恋と英雄の死に繋がっていく。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2021/01/17