ウルリクムミ
分 類 | ヒッタイト神話 |
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d.ul-li-ku-um-mi(ウルリクムミ)〔ヒッタイト語〕 na4.ku-un-ku-nu-uz-zi(クンクヌッジ)〔ヒッタイト語〕 | |
容 姿 | 岩の巨人。 |
特 徴 | 巨大化し、天界に頭が届くまで成長した。テシュブによって退治された。 |
出 典 | 『ウルリクムミの歌』(前14~13世紀頃)ほか |
天候神を倒すためだけに生まれた超巨人!?
ウルリクムミはヒッタイト神話に登場する岩の巨人。天候神テシュブによって神々の王座を奪われたクマルビが、復讐のために「岩」との間にもうけた子供。身体は「クンクヌッジ」という石(石の種類とされるが詳細は不明)でできている。成長するまでの間、クマルビの侍女たち(イルシラ)によって、巨人ウペッルリの肩に突き立てられ、海の中に隠された。ウルリクムミは1日に1アムマトゥ(約40センチメートル)、1か月に1イクー(約8,400平方メートル)の速度で成長し、あっという間に大きくなった。
ウルリクムミのあまりの巨大さを前に、テシュブ神とタシュミシュ神は戦意を喪失していたが、シャウシュ女神だけはウルリクムミを誘惑して破滅させようと、楽器を持って歌いながら彼に迫った。しかし、ウルリクムミはまだ耳が聞こえず、目も見えず、喋ることもできず、そして知性がなかったので効果がなかった。しかし、それを聞いたテシュブ神は、ウルリクムミが知性を持つ前に退治しようとタシュミシュ神を引き連れて出陣した。それでも、巨大化したウルリクムミには彼らの攻撃は一切、効かなかった。軍神アシュタビが70人の神々を引き連れて出陣しても勝てなかった。
遂にはウルリクムミは9,000ダンナ(約96,300キロメートル。ちなみに地球1周が約40,075キロメートル)まで成長し、頭が天界に達そうとした。天界にある神々の神殿も破壊された。そこで神々はアヤ神(シュメル・アッカド神話のエンキ/エア)に相談することにした。アヤ神は天地を切り分けた刃物(クルッジ)で弱点の足を切断するように助言した。神々は刃物でウルリクムミの足を切り落とし、ようやくテシュブ神はウルリクムミを退治した。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『筑摩世界文學大系 1 古代オリエント集』(訳:杉勇ほか,筑摩書房,1978年)
Last update: 2020/08/11