クリシュナ

分 類インド神話
名 称 कृष्णkṛṣṇa〕(クリシュナ)《黒い》【サンスクリット】
容 姿 黒い肌(図像では青)の青年。金色の腰布に孔雀の羽の王冠。
特 徴インド神話の英雄。カンサ王を退治するためにヴィシュヌが化身。
出 典『バーガヴァタ・プラーナ』(10世紀頃)ほか

悪王カンサを退治した英雄!?

クリシュナはインド神話の英雄。ヴィシュヌの8番目の化身(アヴァターラ)で、ヒンドゥー教徒には人気があり、民衆に親しまれて信仰されている。特にヴィシュヌ派の中では、クリシュナを最高神とする一派も存在する。

アスラ族(魔族)と人間のハーフであるカンサ王は生まれながらにして残虐で、アスラ族と手を組んで王国を拡大し、悪政を敷いた。カンサ王の暴虐に苦しむ人々の声は神々に届き、ヴィシュヌはカンサ王を討つために、ヴァスデーヴァとデーヴァキーの8番目の息子に化身することとした。ヴァスデーヴァ夫妻の8番目の子に殺されるという予言を知ったカンサ王は夫妻を幽閉し、生まれてくる子供たちを次々と殺したが、7番目の子バララーマと8番目の子クリシュナはうまく牛飼いナンダの娘とすり替え、ゴークラという町で成長した。

クリシュナは赤ん坊の頃から怪力の持ち主で、この噂を聞いたカンサ王はゴークラにも次々と悪魔を送り込む。最初に送り込まれたのは魔女プータナーで、車の悪魔シャカタ、竜巻の悪魔トリナーヴァルタなどの魔族は次々と赤ん坊のクリシュナに退治されてしまう。成長してもカンサ王の刺客は次々と襲い来る。巨大な白鷺の悪魔バカや大蛇のアガなどもクリシュナは退治する。さらにはヤムナー河に棲む竜王カーリヤも退治している。カンサ王はクリシュナが生きていることを知り、さまざまな魔族を差し向けるが、遂にはクリシュナに退治された。

英雄クリシュナにはモデルがいた!?

ちなみに、クリシュナは元々、実在の人物だったとされる。紀元前7世紀頃、バガヴァッドという太陽神の新興宗教を興し、生前から神格化され、死後、バガヴァッドと同一視された。バラモン教は紀元前4世紀頃にはクリシュナをヴィシュヌと同一視させることで吸収し、2世紀には『バガヴァッド・ギーター』でクリシュナをヴィシュヌの化身とした。こうしてクリシュナ信仰(バーガヴァタ派)はヒンドゥー教に取り入れられ、叙事詩『マハーバーラタ』の中に組み込まれたのだとか……。

《参考文献》

Last update: 2020/06/21

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