ジズ
分 類 | ユダヤ・キリスト教 |
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זיז〔zîz〕(ジズ)【ヘブライ語】 | |
容 姿 | 巨大な鳥。 |
特 徴 | 空の怪物。鳥の支配者。 |
出 典 | 『詩篇』(前2~1世紀頃)ほか |
空を支配する巨大な鳥!?
ジズはユダヤ伝承に登場する鳥の怪物。旧約聖書に登場する陸の怪物ベヒモス、海の怪物レヴィアタンとセットで、空の怪物とされる。鳥の支配者である。大地に足をつけたときに頭は天空に届くほど巨大で、翼で太陽を遮ってしまうという。他の2頭と同じで、終末のときには、義人たちの食べ物として提供されることになっている。
他の2頭の怪物のように旧約聖書の中には明確には登場しておらず、『詩篇』の第50章に出てくる「獣」を鳥の怪物と解釈して、3頭1対で陸海空を象徴する怪物としたものである。そのため、他の2頭に比べると知名度は低いが、しばしば旧約聖書の絵画の中には3頭1対で描かれて登場する。中世には首の長い鳥として描かれることが多いが、古代ギリシアのグリュプス(グリフォン)のような上半身が有翼のワシ、下半身が獅子の姿で描かれることもある。
ベヒモスとレヴィアタンが手に負えない怪物のような扱いを受けているとのは異なり、南からやってくる嵐を背中で受け止めてこの世界を守護したり、美しい歌を歌ったりする。また、ベヒモスとレヴィアタンが子孫が殖えないように雌雄1体のみに制限されているのに対して、ジズは卵を温め、子供をもうけるらしい記述も残されている。ペルシアのスィームルグや古代ギリシアのポイニクス(フェニックス)などの伝承の影響を受けて生まれた伝承である可能性は高い。
《参考文献》
Last update: 2021/03/02