サエーナ/スィームルグ
分 類 | ペルシア・ゾロアスター神話 |
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𐬨𐬆𐬭𐬆𐬖𐬋⸱𐬯𐬀𐬉𐬥𐬋〔mərəγō Saēnō〕(メレゴー・サエーノー)《サエーナ鳥》【アヴェスター語】 𐭮𐭩𐭭𐭬𐭥𐭫𐭥〔Sēnmurw〕(セーンムルウ)【中期ペルシア語/パフラヴィー語】 سیمرغ〔Sīmurgh〕(スィームルグ)【ペルシア語】 | |
容 姿 | 光り輝く猛禽類。 |
特 徴 | 鳥類の王。その羽ばたきによって種子を撒き散らし、あらゆる植物をはやした。 |
出 典 | 『シャー・ナーメ』(11世紀)ほか |
あらゆる植物を生み出した霊鳥!?
スィームルグ、あるいはサエーナはゾロアスター教に登場する霊鳥。サエーナはアヴェスター語で《猛禽》を意味し、《猛禽鳥》という意味のメレゴー・サエーノーとも呼ばれる。これが転訛して、パフラヴィ―語(中世ペルシア語)ではセーンムルウ、ペルシア語ではスィームルグと呼ばれている。
スィームルグは光り輝く巨大な鳥で、鳥類の王とされる。《猛禽》という名前の示す通り、ワシやタカのような鳥だと考えられるが、鳥類にも関わらず、雛には乳を与えて育てるという。また、その乳で人間の子供を育てたという伝承もある。ペルシアの図像では、イヌのような頭部を持ったクジャクのような鳥として描かれることもあり、この図像はまるでグリュプスのようである。
ペルシアの神話では、太古の海には2本の木がはえていたとされ、そのうちの1本がすべての植物の源とされるサエーナの木だった。サエーナはそこに巣をつくっていた。サエーナが羽ばたくと種子が撒き散らされ、そこからあらゆる種類の植物がはえたという。また、サエーナはその実を食べて長寿を得たとも言われている。古代ギリシアのポイニクス(フェニックス)のモデルとされることもある。
12世紀の叙事詩『シャー・ナーメ』にはスィームルグという名前で登場するが、学識豊かで人語を話す霊鳥として描かれている。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2019/11/10