ベヒモス

分 類ユダヤ・キリスト教
名 称 בְהֵמוֹת〔behemoth〕(ベヘモト)【ヘブライ語】
Behemoth(ベヒモス)【英語】
容 姿巨大な獣。ゾウ、カバ、あるいはウシ。杉の木のような尾、銅や鉄のような骨。非常に巨大。
特 徴天地創造の5日目に創造された怪物。陸地に棲む。終末のときの食べ物になる。
出 典『ヨブ記』(前7~4世紀頃)、『第1エノク書』(前2~1世紀頃)ほか

陸地に棲まう巨大な獣!?

ベヒモスは旧約聖書の『ヨブ記』などにその名前が登場する巨大な獣。神(ヤハウェ)が天地創造の5日目にレヴァイアタンとともに創造したとされる。ベヒモスとレヴィアタンで対にされるが、しばしば、ジズも含めて三体一組にされることもある。ベヒモスが陸に棲み、レヴィアタンが海、ジズが空に棲む。古い時代の絵などでは、ゾウやカバなどをモデルにした絵で描かれるが、しばしばウシの姿でも描かれる。『ヨブ記』には、尾は杉のようで、骨は銅や鉄のように強く、ウシのように草を食み、沼地に暮らす。川の流れが荒れても驚かず、ヨルダン川が口に注ぎ込んでも平然としているという。そして、誰も捕まえられず、誰も打ち倒せないという。

ユダヤの伝承では、ベヒモスも元々は海に棲んでいたという。しかし、レヴィアタンとベヒモスの両方ともが巨大過ぎて、海の水が溢れてしまうため、ベヒモスは陸地に棲むようになったとされる。終末が来ると、レヴィアタンとともに、義人たちの食べ物として提供されることになっている。

הִנֵּה-נָא בְהֵמוֹת, אֲשֶׁר-עָשִׂיתִי עִמָּךְ; חָצִיר, כַּבָּקָר יֹאכֵל.
הִנֵּה-נָא כֹחוֹ בְמָתְנָיו; וְאוֹנוֹ, בִּשְׁרִירֵי בִטְנוֹ.
יַחְפֹּץ זְנָבוֹ כְמוֹ-אָרֶז; גִּידֵי פַחֲדָו יְשֹׂרָגוּ.
עֲצָמָיו, אֲפִיקֵי נְחֻשָׁה; גְּרָמָיו, כִּמְטִיל בַּרְזֶל.

ベヒモスを見よ、これはあなたと同様にわたしが造ったもので、牛のように草を食う。
見よ、その強さは腰にあり、その力は身体の中にある。
彼はその尾を杉のように動かし、太ももの筋肉は互いに絡み合う。
その骨はまるで青銅の管のようで、肋骨は鉄の棒のようだ。

(『ヨブ記』40章15節より)

中世においては、悪魔学に取り込まれ、山の植物を貪り食うイメージから、暴飲暴食を司る悪魔と考えられるようになった。ゾウの頭に人間の身体を持った姿として描かれることが多い。

また、ベヒモスの語は、アラビア語に転訛してバハムートになったが、これは巨大な魚の怪物である。これは対になっているレヴィアタンのイメージと混同されたものと考えられ、イスラームでは独自の発展を遂げた。

《参考文献》

Last update: 2021/03/02

サイト内検索