ティクティク

分 類フィリピン伝承
名 称 Tik-tik(ティクティク)【フィリピン諸語】
Kikik(キキク)【フィリピン諸語】
容 姿真っ黒い鳥。長い舌を持つ。
特 徴吸血鬼アスワンの手下として偵察する。
出 典

吸血鬼の手下の真っ黒い鳥!?

ティクティクはフィリピン伝承の鳥の妖怪。真っ黒い鳥で「ティクティク」と鳴くことからこの名前がついている。ワクワクエクエクと同じように、遠くにいると鳴き声は大きく、そばにいると鳴き声は小さく聞こえる。

ティクティクは地域や伝承によってさまざまに描かれる。ある伝承では、ティクティクはアスワンの一種で、昼間は普通に人間として暮らしていて、夜になると真っ黒い鳥に変身して獲物を求めて空を飛び、屋根の上に止まるとクチバシから伸ばした細長い舌を天井から差し入れて妊婦のヘソからお腹の中の胎児を啜るという。あるいは赤ん坊の肛門から舌を差し入れて内臓を啜るとも言われる。その家に病人がいれば、病人のヘソから精気を啜るとも言われている。晴れている日に突風が吹くとティクティクがいると恐れられた。

しかし、一般的には、ティクティクはアスワンの手下とされることが多い。アスワンが獲物を探す場合、まずはティクティクが先行して村を訪れ、妊婦や赤子、病人を探す。そして、獲物を見つけるとその家の屋根の上に止まる。そうすると、アスワンがやってきて、その家の住人を襲うと信じられた。従って、ティクティクが家の屋根に止まったら(あるいは「ティクティク」という鳴き声が聞こえたら)しっかりと戸締りをして、穴という穴を塞がなければならないと信じられた。タガログ語には、ティクティクは《スパイ》という意味があるが、まさにアスワンから差し向けられた「スパイ」と言える。

なお、ティクティクが空を飛んでいるときにはアスワンは地面を徘徊していて、ティクティクが地面を徘徊しているときにはアスワンが上空にいるとも言われている。

ちなみに、ビコール地方には「キキク」と呼ばれる鳥の妖怪がいる。こちらも「キキク」と鳴くことからそう呼ばれているが、ティクティクとほぼほぼ同じような特徴を備えている。

《参考文献》

Last update: 2024/04/07

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