トロノス/スローン

分 類ユダヤ・キリスト教
名 称 θρόνοςthronos〕(トロノス)《玉座》【古代ギリシア語】
אוֹפָן’ōphān〕(オーファーン)《車輪》【ヘブライ語】
複数形:אוֹפַנִּים’ōphannīm〕(オーファンニーム)【ヘブライ語】
Throne(スローン)【英語】
座天使(ざてんし)【日本語】
容 姿燃え盛る車輪の姿をした天使。
特 徴神の戦車を運ぶ。
出 典『コロサイ人への手紙』(前1世紀頃)、『天上位階論』(5~6世紀頃)ほか

3番目の天使は燃え盛る車輪!?

トロノス、あるいはスローンはユダヤ教やキリスト教の伝承に登場する天使。《玉座》を意味することから、日本語では座天使(ざてんし)と訳される。燃え盛る車輪として描かれる。神の戦車を運ぶ存在とされ、物質の身体を持つ最上級の天使とされる。ディオニュシオス・ホ・アレオパギテースの『天上位階論』では天使の九階級の中でもセラフケルブに次いで3番目の地位を与えられている。

なお、トロノスは『コロサイ人への手紙』の以下の文章から派生した存在である。

万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位(トロノス)も主権(キュリオテーテス)も、支配(アルケー)も権威(エクスーシア)も、みな御子にあって造られたからである。これらいっさいのものは、御子によって造られ、御子のために造られたのである。

(『コロサイ人への手紙』1:16より)

これらの単語を、それぞれ座天使(トロノス)、主天使(キュリオテーテス)権天使(アルケー)能天使(エクスーシア)と解釈したわけである。

また『エゼキエル書』には、生きもの(2番目の天使ケルブのこと)につき従う輪の描写があるが、これがトロノスだと考えられている。

わたしが生きものを見ていると、生きもののかたわら、地の上に輪があった。四つの生きものおのおのに、一つずつの輪である。もろもろの輪の形と作りは、光る貴かんらん石のようである。四つのものは同じ形で、その作りは、あたかも、輪の中に輪があるようである。その行く時、彼らは四方のいずれかに行き、行く時は回らない。四つの輪には輪縁と輻とがあり、その輪縁の周囲は目をもって満たされていた。生きものが行く時には、輪もそのかたわらに行き、生きものが地からあがる時は、輪もあがる。霊の行く所には彼らも行き、輪は彼らに伴ってあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。彼らが行く時は、これらも行き、彼らがとどまる時は、これらもとどまり、彼らが地からあがる時は、輪もまたこれらと共にあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。

(『エゼキエル書』1:15-21より)

『エゼキエル書』の記述は非常に難解だが、要するに、ペリドットのようにオリーブ色に光っていて、車輪の周囲には無数の目がついているイメージである。「輪の中に輪がある」というのは、美術などでは、車輪の中に90度ずれた車輪がもうひとつあって、まるで球のようになったイメージの絵が描かれる。

天使の九階級
序列名称
1番目熾天使セラーフ
2番目智天使ケルーブ
3番目座天使トロノス/スローン
4番目主天使キュリオテーテス/ドミニオン
5番目力天使デュナミス/ヴァーチュー
6番目能天使エクスーシア/パワー
7番目権天使アルケー/プリンシパリティ
8番目大天使アルカンゲロス/アークエンジェル
9番目天使アンゲロス/エンジェル

《参考文献》

Last update: 2020/07/15

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