キュリオテーテス/ドミニオン
分 類 | ユダヤ・キリスト教 |
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κυριότης 〔kyriotētes〕(キュリオテーテス)《主権》【古代ギリシア語】 Dominion(ドミニオン)【英語】 主天使(しゅてんし)【日本語】 | |
容 姿 | 2対の翼を持った天使。笏を持つ。 |
特 徴 | 神の権威を示す。天使の任務を統制する。 |
出 典 | 『エペソ人への手紙』(前1世紀頃)、『コロサイ人への手紙』(前1世紀頃)、『天上位階論』(5~6世紀頃)ほか |
神の権威を示す天使たち!?
キュリオテーテス、あるいはドミニオンはユダヤ教やキリスト教の伝承に登場する天使。《主権》を意味することから、日本語では「主天使(しゅてんし)」と訳されている。ディオニュシオス・ホ・アレオパギテースの『天上位階論』では天使の九階級の中で4番目の地位を与えられている。
キュリオテーテスは『コロサイ人への手紙』の以下の文章から派生した存在である。
万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位(トロノス)も主権(キュリオテーテス)も、支配(アルケー)も権威(エクスーシア)も、みな御子にあって造られたからである。これらいっさいのものは、御子によって造られ、御子のために造られたのである。
(『コロサイ人への手紙』1:16より)
これらの単語を、それぞれ座天使(トロノス)、主天使(キュリオテーテス)、権天使(アルケー)、能天使(エクスーシア)と解釈したわけである。『エペソ人への手紙』も同じである。
彼を、すべての支配(アルケー)、権威(エクスーシア)、権力(デュナミス)、権勢(キュリオテーテス)の上におき、また、この世ばかりでなくきたるべき世においても唱えられる、あらゆる名の上におかれたのである。
(『エペソ人への手紙』1:21より)
これらの単語も、それぞれ権天使(アルケー)、能天使(エクスーシア)、力天使(デュナミス)、主天使(キュリオテーテス)と解釈された。
セラーフ、ケルーブ、トロノスなどの天使の九階級の上位の天使とは異なり、キュリオテーテスの姿は2対の翼をはやした美しい人間の姿とされ、一般的に我々がイメージする天使の姿に近い。主権の象徴である笏と剣を持っている。天使たちを統制している存在とされる。
序列 | 名称 | |
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1番目 | 熾天使 | セラーフ |
2番目 | 智天使 | ケルーブ |
3番目 | 座天使 | トロノス/スローン |
4番目 | 主天使 | キュリオテーテス/ドミニオン |
5番目 | 力天使 | デュナミス/ヴァーチュー |
6番目 | 能天使 | エクスーシア/パワー |
7番目 | 権天使 | アルケー/プリンシパリティ |
8番目 | 大天使 | アルカンゲロス/アークエンジェル |
9番目 | 天使 | アンゲロス/エンジェル |
《参考文献》
Last update: 2020/07/19