ケルーブ
分 類 | ユダヤ・キリスト教 |
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כְּרוּב 〔kərūv〕《祈るもの》(ケルーヴ)【ヘブライ語】 複数形:כְּרוּבִים 〔kərūvîm〕(ケルーヴィム)【ヘブライ語】 Cherub(ケルブ)【英語】 複数形:Cherbim(ケルビム)【英語】 智天使(ちてんし)【日本語】 | |
容 姿 | 人間、獅子、ウシ、ワシの4つの顔、4つの翼を持つ天使。傍らには車輪(スローン)が同行する。 |
特 徴 | 九階級の2番目の天使。神の玉座。エデンの園の門番。 |
出 典 | 『創世記』、『天上位階論』(5~6世紀頃)ほか |
天使の九階級2番目の天使は神の乗り物!?
ケルーブ(ケルービム)はユダヤ教やキリスト教の伝承に登場する天使。旧約聖書の『創世記』によれば、エデンの園を追放された人間が生命の木に到達して永遠の命を得ないように、エデンの園の東で、炎の剣を持って見張っているという。
神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。
(『創世記』第3章24行)
『エゼキエル書』では、4つの顔と4つの翼を持った天使として描かれる。
わたしが見ていると、見よ、激しい風と大いなる雲が北から来て、その周囲に輝きがあり、たえず火を吹き出していた。その火の中に青銅のように輝くものがあった。またその中から四つの生きものの形が出てきた。その様子はこうである。彼らは人の姿をもっていた。おのおの四つの顔をもち、またそのおのおのに四つの翼があった。その足はまっすぐで、足のうらは子牛の足のうらのようであり、みがいた青銅のように光っていた。その四方に、そのおのおのの翼の下に人の手があった。この四つの者はみな顔と翼をもち、翼は互に連なり、行く時は回らずに、おのおの顔の向かうところにまっすぐに進んだ。顔の形は、おのおのその前方に人の顔をもっていた。四つの者は右の方に、ししの顔をもち、四つの者は左の方に牛の顔をもち、また四つの者は後ろの方に、わしの顔をもっていた。彼らの顔はこのようであった。その翼は高く伸ばされ、その二つは互に連なり、他の二つをもってからだをおおっていた。彼らはおのおのその顔の向かうところへまっすぐに行き、霊の行くところへ彼らも行き、その行く時は回らない。この生きもののうちには燃える炭の火のようなものがあり、たいまつのように、生きものの中を行き来している。火は輝いて、その火から、いなずまが出ていた。生きものは、いなずまのひらめきのように速く行き来していた。
わたしが生きものを見ていると、生きもののかたわら、地の上に輪があった。四つの生きものおのおのに、一つずつの輪である。
(『エゼキエル書』第1章4-15行)
『エゼキエル書』の第1章で「生きもの」とされているのがケルーブである(第10章でこの生きものがケルーブであると語られる)。人間の身体にウシの足、4つの顔(人間、獅子、ウシ、ワシ)、4つの翼で、2つは身体を覆っている。身体の中には火のようなものが行き来していて、その火から稲妻が出る。そして、傍らに車輪(この車輪はトロノスという別の天使と解釈されている)がつき従う。
なお、『サムエル記』や『詩篇』などでは、神の玉座、あるいは神の乗り物として描写されている。
ディオニュシオス・ホ・アレオパギテースの『天上位階論』では天使の九階級の中でもトップの地位を与えられている。日本語では「智天使(ちてんし)」と訳されている。
序列 | 名称 | |
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1番目 | 熾天使 | セラーフ |
2番目 | 智天使 | ケルーブ |
3番目 | 座天使 | トロノス/スローン |
4番目 | 主天使 | キュリオテーテス/ドミニオン |
5番目 | 力天使 | デュナミス/ヴァーチュー |
6番目 | 能天使 | エクスーシア/パワー |
7番目 | 権天使 | アルケー/プリンシパリティ |
8番目 | 大天使 | アルカンゲロス/アークエンジェル |
9番目 | 天使 | アンゲロス/エンジェル |
《参考文献》
Last update: 2020/07/15