テリピヌ

分 類ヒッタイト神話
名 称 d.te-li-pi-nu(テリピヌ)〔ヒッタイト語〕
容 姿男性神。
特 徴植物神。怒って職務を放棄し姿を隠す。このため、耕地は荒廃し、飢饉になった。
出 典『テリピヌ神話』(前15世紀頃)ほか

姿を隠す神は怒りに我を忘れる!?

テリピヌはハッティ系神話の農耕神、植物神。『テリピヌ神話』では、天候神(テシュブ)の子として登場する。あるとき、怒りに我を忘れて、自らの職務を放棄して失踪してしまう。テリピヌが不在になったため、植物や家畜の成長は止まり、耕地は荒廃し、飢饉が発生した。また、テリピヌは生殖も司っていたようで、家畜も人間も子供を生めなくなった。困った神々はテリピヌの捜索を開始した。天候神自らも捜索に加わったが見つけられない。そこで大地母神のハンナハンナがミツバチを差し向け、ミツバチがテリピヌを見つけ出して、眠っていたテリピヌの手足をチクリと刺した。テリピヌは目覚めたが、あまりの痛みに怒り狂い、洪水や嵐を引き起こした。そこで、呪術の女神カムルシェパがさまざまな儀式でテリピヌの怒りを鎮め、テリピヌは再び、職務に戻ってくる。

このような「姿を隠す神」は、植物の死と再生のサイクルを表現しており、シュメル・アッカド神話のドゥムジ/タンムーズやギリシア・ローマ神話のアドーニスなど、類似の神話が知られている。

《参考文献》

Last update: 2020/08/17

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