タラスク

分 類フランス伝承
名 称 Tarasque(タラスク)【フランス語】
Tarasconus(タラスコヌス)、Tarascus(タラスクス)【ラテン語】
容 姿ライオンの頭、亀のような甲羅と6本脚、長いヘビの尾を持った竜。
特 徴ローヌ川沿いの森に棲み、人を襲った。聖女マルタが退治した。
出 典『黄金伝説』(13世紀)ほか

聖女マルタが退治した凶暴な人喰い竜!?

タラスクはフランス南部のタラスコン市に伝わる竜、あるいは怪物。タラスクはローヌ川沿いの森に棲んでいて、非常に獰猛で、毒の息を吐き、川を渡ろうとする船や人を襲って喰らっていた。13世紀にイタリアの大司教ヤコブス・デ・ウォラギネが著した『黄金伝説』によれば、半獣半魚の怪物で、この街を訪問した聖女マルタが聖水を振りかけ、キリストの名前を3度唱えたところ、おとなしくなったという。その後、鎖に繋がれて街へと連れてこられて、町人たちが石や槍を投げつけて殺したという。偽マルケラの『聖女マルタ伝』では、たてがみをはやしたライオンのような頭、カメのような甲羅、6本の脚と長いヘビのような尾を持ったドラゴンとして描かれており、現在ではこの姿が一般的である。

『黄金伝説』では、タラスクはレヴィアタンボナコンの間に生まれた子供だと説明されている。タラスコンでは聖女マルタの祝日(命日)にタラスクの山車を運ぶ祭りが開催されていたが、現在でも毎年6月の最終日曜日になると、タラスクの祭が執り行なわれ、タラスクの模型が街を練り歩く。

なお、フランスには、メッス市の聖クレメントによるグラウィリ退治、ルーアン市の聖ロマヌスによるガルグイユ退治などの竜退治の伝承が各地に残されている。

《参考文献》

Last update: 2021/03/06

サイト内検索