オホクニヌシ

分 類日本神話
名 称 大國主神(オホクニヌシノカミ)〔記・紀〕【日本語】
大穴牟遲神(オホアナムヂノカミ)〔記〕【日本語】
大己貴神(オホムナチノカミ)〔紀〕【日本語】
容 姿男性神。
特 徴スサノヲの子孫で、国津神を統べる神。日本の国造りを進めた。
出 典『古事記』(8世紀頃)、『日本書紀』(8世紀頃)ほか

オホクニヌシはこつこつと国造りを進めた神!?

オホクニヌシは記紀神話に登場する神で、国津神の主宰神。出雲大社に祀られている。多くの異名を持ち、また各地の女神と結ばれて、その間には180人以上の子供がいるとされる。スサノヲの子孫とされ、葦原中国(日本)の国造りを完成させた。その後、アマテラス率いる天津神たちに国譲りの要請をされ、神殿の再建を条件に国を譲った。

兄弟たちに何度、殺されても復活する!?

オホクニヌシは苦労人で、元々はオホムナチと呼ばれていて、たくさんの兄弟神(八十神)がいた。兄弟たちはオホムナチに国を譲ってしまうと、みんなで因幡のヤガミヒメ(八上比賣)に求婚しようとして、オホムナチに荷物を全部、運ばせて従者のように連れて行った。オホムナチは、途中、皮を剥がされたウサギと出会う。沖の島に行くためにワニを騙して並べてその上を飛び跳ねていったら、ワニに皮を剥がされたというのである。ところが、八十神たちはウサギに海水を塗って風に当たるように助言した。その結果、ウサギの傷は悪化したのである。オホムナチは「すぐに水で身体を洗って、ガマを塗って寝ていれば治る」と助言する。ウサギは「八十神はヤガミヒメとは結婚できない。オホムナチが娶ることになる」という予言を残す。そして予言どおり、ヤガミヒメは八十神たちの求婚を拒絶し、オホムナチと結婚する。

兄弟神たちは怒り、オホムナチを殺そうと画策する。そして「俺たちが赤いイノシシを山麓に追い込むから捕えろ」とオホムナチに指示をして、火をつけた巨大な石を山の上から転がした。オホムナチは火のついた石にぶつかって死んでしまう。これに悲しんだオホムナチの母親サシクニワカヒメ(刺國若比賣)は、高天原を訪れてカミムスヒに助けを求めた。カミムスヒは赤貝のキサガイヒメ(𧏛貝比賣)とハマグリのウムギヒメ(蛤貝比賣)の2名の女神を派遣してオホムナチを復活させた。

兄弟神たちは懲りずに再び、オホムナチを殺そうと画策する。オホムナチを山に誘い込み、楔を打って開いた木の間にオホムナチを連れて行くと、楔を外した。オホムナチは木に挟まって死んでしまった。サシクニワカヒメは再びオホムナチを蘇らせると、このままこの地にとどまっていては兄弟神たちに殺されてしまうとして、オホヤビコ(大屋毘古神)のところへ行くように指示する。しかし、兄弟神たちは追ってきて、オホヤビコにオホナムチを引き渡すように要求した。オホヤビコは根堅州國のスサノヲに助けてもらうように言って、オホムナチを逃がした。

スサノヲに認められて葦原中国の統治の座を獲得!?

根堅州國に行ったオホムナチはスセリヒメ(須勢理毘賣命)と出会って一目惚れし、結婚する。スセリヒメはスサノヲの娘で、父親にオホムナチを紹介する。スサノヲはオホムナチをヘビの部屋に案内する。スセリヒメは「ヘビのひれ(スカーフ)」を授けて「ヘビが喰い付いたらこのヒレで3回打って払え」と教えた。こうしてヘビは静かになり、オホムナチはぐっすり眠ることができた。次の日、スサノヲはオホムナチをムカデとハチの部屋に案内する。ここでもスセリヒメは「ムカデとハチのひれ」を与え、オホムナチは眠ることができた。次の日、スサノヲは平原に鳴り鏑(音の出る矢)を放ち、拾ってくるようにオホムナチに言いつけた。オホムナチが鳴り鏑を探しに平原に入ると、スサノヲは平原に火を放った。火に取り囲まれて逃げ場を失ったオホムナチだったが、ネズミがやってきて「中はホラホラ、外はスブスブ」と言ったので、地面を踏みしめたら穴があり、そこに飛び込んで隠れていたら平原の火が消えた。問題の鏑矢はネズミが咥えて持ってきてくれた。スセリヒメもスサノヲもオホムナチは死んだと思っていたら、オホムナチが鏑矢を持って現れたので、スサノヲは家に招き入れ、今度は自分の頭に棲むシラミを取るように命じた。スサノヲの頭に棲みついていたのはムカデだった。スセリヒメはムクの木の実と赤土をオホムナチに授けた。オホムナチはムクの実を食い破り、赤土を口に含んで吐き出して見せた。スサノヲはオホムナチがムカデを噛み砕いて吐き出しているのだと思い込んで「かわいいやつだ」と思って眠りについた。

ここからオホムナチの逆襲が始まる。オホムナチはスサノヲの髪を部屋の柱に結び付けると、部屋の入口に巨大な岩を置いて、スセリヒメを背負うと、スサノヲの刀や弓、琴などを持って逃げ出した。うっかり、琴が木に触れて大きな音が響いた。スサノヲは驚いて目を覚ますが、髪の毛を柱からほどいている間にオホムナチは遠くに逃げていく。スサノヲは死者の国である黃泉國(よみのくに)と人間の国である葦原中國(あしはらなかつこく)の境界にある黃泉比良坂(よもつひらさか)まで追ってくると、遠くにいるオホムナチに「刀と矢で兄弟たちを追い詰めてオホクニヌシになって、スセリヒメを正妻に太い柱を立てて、高い宮殿に住め」と言う。こうして、オホムナチはスサノヲからオホクニヌシの称号を得て、葦原中國の支配者となることを認められる。こうしてオホクニヌシとなったオホムナチはスサノヲから得た刀と弓で八十神を追い払って、無事に国造りに着手した。

スクナヒコナと国造りを進める!?

その後、さまざまな地方女神との婚姻を繰り広げながら、オホクニヌシはたくさんの子供を産んでいく。そして、国造りを始めるにあたって、どうしようかと考えて美保の岬に立っていると、海の向こうからガガイモの船に乗って蛾の皮を剥いだ服を着た名の知らぬ神が常世國(とこよのくに)からやってくる。これがスクナヒコナでオホクニヌシはスクナヒコナと協力して国土を整えていく。しかし、途中でスクナヒコナは常世國に去ってしまう。オホクニヌシが途方に暮れていると、今度は海の向こうから光り輝く神がやってきて、三輪山に祀ることを条件に一緒に国土造りを手伝う。これはオオモノヌシのことであるが、オオモノヌシは物の本質を司る神であり、オホクニヌシの別の側面とされる。これによって国土が完成したことを意味するのかもしれない。

オホクニヌシの進めた国造りとは、人々に農業や医術を教え、生活や社会を作ることだったとされる。

天津神たちに国を譲る!?

こうしてコツコツ造り上げた国土は、最終的に天津神に奪われることになる。天津神を統べるアマテラスは国津神たちが治める葦原中国を平定するため、高天原からタケミカヅチを派遣する。タケミカヅチは出雲の浜に降り立つと、十掬劒(とつかのつるぎ)を波に逆さに突き立て、剣の切っ先に胡坐をかいて、オホクニヌシに国譲りの談判をした。オホクニヌシは息子たちに全てを託すことにしたが、1人目の息子のコトシロヌシはすんなりとタケミカヅチに服従した。もう1人の息子のタケミナカタはタケミカヅチに力比べを持ちかけたが、タケミカヅチに一捻りにされて降伏した。こうして、葦原中国は天津神たちのものとなった。

《参考文献》

Last update: 2020/08/22

サイト内検索