牛魔王(ニウ・モーワン、ぎゅうまおう)

分 類中国伝承(西遊記)
名 称 牛魔王〔niú mówáng〕(ニウ・モォワァン)【中国語】
牛魔王(ギュウマオウ)【日本語】
容 姿角を生やしたウシの妖怪。
特 徴非常に強力な魔王。
出 典『西遊記』(16世紀)ほか

西遊記に登場する有名な魔王!?

牛魔王(ニウ・モーワン、ぎゅうまおう)は中国の四大奇書小説『西遊記』に登場する魔王。大力王とも呼ばれる。その正体は巨大な白ウシ。鉄扇公主(羅刹女)を正妻に、紅孩児という息子も儲けたが、玉面公主を愛人して、彼女の棲む積雪山に入り浸っていた。元々は孫悟空(当時は「美猴王」と名乗っていた)と義兄弟の契りを交わすほどの仲で、蛟魔王、鵬魔王、獅駝王、獼猴王、𤟹狨王などと一緒に、下界で暴れ回っていた。孫悟空が「斉天大聖」を名乗ると、牛魔王も「平天大聖」と名乗った。

『西遊記』に登場する魔王たちの中でもなかなかの強敵で、宝貝「芭蕉扇」を巡って孫悟空と激しく争った。あるとき、三蔵法師一行は火焔山を訪れた。火焔山は燃える山で、あまりに強く山が燃えているため、先に進めなくなった。翠雲山芭蕉洞に住む鉄扇公主が、この山の炎を消すことができる宝貝「芭蕉扇」を持っていると聞き、一行は鉄扇公主と戦った。しかし、鉄扇公主がかなり強情に抵抗するため、孫悟空は夫である牛魔王の下を訪れる。しかし、孫悟空が仏門に降っていること、そして息子の紅孩児も孫悟空とのいざこざの末、仏門に降っていることに腹を立て、戦いになり、孫悟空は撤退し、今度は牛魔王に化けて鉄扇公主を騙しにかかる。鉄扇公主は久々に牛魔王が戻って来たと思い込んで、夫の興味を引こうとご馳走を振る舞い、誘惑する。そして、孫悟空に芭蕉扇を渡してしまう。孫悟空は元の姿に戻ると、芭蕉扇を持って逃げだす。そこに牛魔王が戻ってくる。鉄扇公主は怒り狂っている。牛魔王は猪八戒に化けて孫悟空に近づき、芭蕉扇を取り戻す。そして、愛人・玉面公主の暮らす積雪山に戻ったが、孫悟空と猪八戒は門を壊して侵入する。牛魔王も孫悟空もタカやハヤブサ、トラ、ライオンなど、さまざまな動物に変身して争った。一方、猪八戒は玉面公主を退治する。これに激怒した牛魔王は、巨大なウシの姿になり、孫悟空は身長数万メートルにまで巨大化した姿で死闘を繰り広げた。最終的に哪吒太子などの天界の軍隊も加わり、牛魔王は鉄扇公主の嘆願もあって降伏する。

なお、日本の短くまとめられた『西遊記』では、孫悟空と牛魔王の戦いが山場になっているが、原作では物語の中盤の出来事である。ただし、天界をも巻き込んでの大騒動になっており、非常に強力な妖怪である。

《参考文献》

Last update: 2021/05/30

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