ナムタル

分 類メソポタミア神話
名 称 𒉅𒋻 〔nam-tar〕(ナムタル)【シュメル語】
容 姿
特 徴疫病を操る悪霊。エレシュキガルの部下。死神。
出 典『ネルガルとエレシュキガル』『イシュタルの冥界降り』ほか

メソポタミア世界の死神!?

ナムタルはシュメル神話に登場する悪霊。60種類の病気を操って人々を苦しめる。それらの病気を防ぐために、ナムタルに供物を捧げられた。冥界の女王エレシュキガルの宰相で、冥界を離れられないエレシュキガルの代わりに、天界の宴会に出席したこともある。『ネルガルとエレシュキガル』では、宴の場でネルガルだけがナムタルを軽視した。これにエレシュキガルが激怒し、ネルガルと大喧嘩になった。ネルガルは冥界まで攻め入り、ナムタルを打ち倒し、エレシュキガルを押さえつけたというが、最終的に夫婦となる。その意味では、ナムタルはエレシュキガルとネルガルの恋のキューピットとも言える。

『アトラ・ハシース物語』では、人類が増えすぎて地上が騒がしくなったとき、エンリル神は人類を滅ぼそうと決め、地上にナムタルを送り込んで、疫病を引き起こそうとした。エンキ神はアトラ・ハシースに対策を施した。

ナムタルは人間の死の運命と結び付けられ、死を擬人化した死神のような存在と考えられるようになった。アッカド神話の『イシュタルの冥界降り』では、冥界にやってきたイシュタル(イナンナ)を60種類の病気で呪って動けなくした。ナムタルの力は神を相手にしても有効だと言える。

《参考文献》

Last update: 2020/07/24

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