エレシュキガル
分 類 | メソポタミア神話 |
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𒀭𒊩𒆠𒃲 〔d.ereš-ki-gal〕(エレシュキガル)《冥府の女王》【シュメル語】 | |
容 姿 | - |
特 徴 | 冥府を司る女王。 |
出 典 | 『イナンナの冥界降り』、『ネルガルとエレシュキガル』ほか |
シュメル・アッカドの冥府の女主人!?
エレシュキガルはシュメル・アッカド神話に登場する冥界の女神。主にクタ市(グドゥア)で崇拝される。イナンナの姉で、疫病や死を司るネルガルを夫としている。
冥界はシュメル語では「クル」と呼ばれ、地下深くにあり、決して「戻ることのない土地」と呼ばれた。首相ナムタル、書記ベーレット・セリ、死者を裁く7人の裁判官などを従えて冥界に君臨する。しばしば、地上との連絡にはナムタルが派遣された。
『ネルガルとエレシュキガル』では、神々が宴会を開いたとき、冥界を離れられないエレシュキガルは、自分の代わりにナムタルを派遣した。けれども、ネルガルがナムタルを侮辱したため、エレシュキガルは激怒し、ネルガルを冥界に連行しようとする。ネルガルは14匹の悪霊を引き連れて冥府に入る。7つの門をくぐるたびに、本来、衣装を剥ぎ取られることになるが、ネルガルは2匹ずつ悪霊を引き渡すことで、何も剥ぎ取られることなく、エレシュキガルの玉座までやってくる。ネルガルは事前にエア(エンキ)から冥界の禁忌について教えられていたため、玉座を出されても座らず、パンや肉、ビールを出されても口をつけず、水を出されても足を洗わなかった。しかし、エレシュキガルは客人の前で湯浴みし、衣装を着替える。そして、最後の禁忌であるエレシュキガルの誘惑に負けて6日間、エレシュキガルと交わる。しかし、ネルガルは隙をついて冥界から地上に逃げ出す。エレシュキガルはネルガルを忘れられず、神々にネルガルを冥府に戻すように嘆願する。エア神はネルガルを匿うが、エレシュキガルはネルガルを戻さなければ、冥府の死者を地上に解放し、人間が生まれる数以上、冥界に人間を連行すると脅した。そこで、ネルガルは再び、冥界を訪れ、ナムタルを打ち倒し、エレシュキガルを床に引き倒して殺そうとする。エレシュキガルはネルガルの妻となり、冥界の支配権を共有することを提案する。ネルガルはそれを承諾し、自由に地上と冥界を行き来できるようになった。エレシュキガルとネルガルの間には、医術神ニンアズが誕生した。
《参考文献》
- 『古代メソポタミアの神々 世界最古の「王と神の饗宴」』(監:三笠宮崇仁,著:岡田明子/小林登志子,集英社,2000年)
Last update: 2020/07/26