ルーグ

分 類ケルト神話(アイルランド神話)
名 称 Lug(ルーグ)《輝く者》【古アイルランド語】
容 姿槍を持った男性神。
特 徴太陽神。軍神。
出 典『来寇の書』(11世紀頃)ほか

ルーグはアイルランド神話の太陽神。顔が太陽のように光り輝いていたとされる。工芸・武術・詩吟・古史・医術・魔術など全技能に秀でていたため、《百芸に通じた》という意味で、Samildánach(サウィルダーナハ)と呼ばれた。または《諸芸の達人》という意味でIldánach(イルダーナハ)と呼ばれた。

実は彼の父はトゥアハ・デ・ダナンである医療神ディアーン・ケーヒトの息子のキアンであるが、母親は神々の宿敵であるフォヴォル族(フォモール族)のバロールの娘エスニウであった。神々は強大なフォヴォル族に敗れて、長く彼らに支配されていた。そのフォヴォル族の王のバロールは「実の孫に殺される」という予言を受けていた。そのため、娘のエスニウを塔に閉じ込めてしまった。キアンはバロールに一泡吹かせるため、女性に化けて塔に忍び込み、エスニウとの間に3人の子供を設けた。バロールは子供を海に投げ捨てて殺してしまったが、1人だけは生き延び、海神マナナーン・マク・リールによって育てられた。こうして成長したのがルーグであった。

ルーグは神々の王ヌアザの下を訪れると、「私は優れた大工だ」と言って自分を雇うように言う。しかし神々は「大工ならルフタがいる」と答えた。ルーグが「私は優れた鍛冶屋だ」と言えば、神々は「鍛冶ならゴブニュがいる」と答える。こうして、ルーグはいろいろな職業を説明するが、そのたびに神々はそれに対応する神の名前を挙げる。最後にルーグは「これらすべてを担える神はいるか」と問う。こうして、ルーグはヌアザに認められ、トゥアハ・デ・ダナンの王位を継承した。そして、第2次マグ・トゥレドの戦いで、激しくフォヴォル族と戦い、バロールを倒して、トゥアハ・デ・ダナンに勝利をもたらした。槍の名手で「長腕のルーグ」と呼ばれた。英雄クー・フリンの父でもある。

《参考文献》

Last update: 2023/10/16

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