キングー
分 類 | メソポタミア神話 |
---|---|
𒀭𒆥𒄖〔dkin-gu〕(キングー)《未熟な労働者》【アッカド語】 | |
容 姿 | 男神。 |
特 徴 | ティアマト率いる11匹の怪物のリーダー。マルドゥクに退治される。 |
出 典 | 『エヌマ・エリシュ』(前18世紀頃)ほか |
11匹の怪物を率いて若い神々に反逆したリーダー!?
キングーはメソポタミア神話に登場する神で、原初の海水の女神ティアマトと淡水の神アプスーの息子である。母親ティアマトをそそのかし、若い神々に反旗を翻し、マルドゥクに退治された。
原初の時代、ティアマトとアスプーが若い神々を生み出すと、若い神々は騒々しく暴れたため、アプスーは腹を立てて若い神々を滅ぼそうとする。しかし、知恵の神エアの計略によって、逆にアスプーが殺される。その後、エアの息子のマルドゥクが風を吹かせて大騒ぎしたため、遂にはティアマトも夫の復讐を果たすべく、11匹の怪物たちを産み出すと、若い神々に戦いを挑んだ。そのときに、ティアマトはキングーを次の神々の王とすべく、勝手に「天命のタブレット」を息子に渡した。そして、キングーは11匹の怪物たちを率いて、ティアマトとともに、若い神々に戦いを挑んだ。若い神々はティアマトらには太刀打ちできず、敗走した。
若い神々の中で唯一対抗できるものとしてマルドゥクが選出され、神々の承認のない「天命のタブレット」は無効であるとして、マルドゥクは神々の集会で正式に「天命」を授かり、ティアマトとキングーに戦いを挑んだ。こうして、ティアマトは退治され、キングーを始め11匹の怪物たちはマルドゥクに退治された。
キングーは、神々の集会の場で「ティアマトを唆して戦いを始めた張本人」として名指しされ、処刑された。その血は人類創造の材料とされた。こうして、神々は苦役を人間に肩代わりさせ、自由になったという。
ティアマトの11匹の怪物たちとは!?
ティアマトが生み出した11匹の怪物たちは、ムシュマッフ(7つの頭を持つ竜)、ウシュムガルル(獅子竜)、バシュム(2本の前脚と角を持つ竜)、ムシュフッシュ(ヘビ、ライオン、ワシなどの合成獣)、ラフム(水の精霊)、ウガルル(獅子人間)、ウリディンム(人間獅子)、ギルタブルルー(サソリ人間)、ウームー・ダブルートゥ(嵐の魔物)、クルッル(魚人間)、クサリック(ウシ人間)である。
《参考文献》
Last update: 2021/10/02