2023年5月11日 プロトタイプから外れた境界に近いところにいる。

ボク個人はLGBTQという概念と言葉が嫌いだ。昔はLGBTだったのに、いつの間にか、LGBTQとか、LGBTQQIAAPPO2Sとか、どんどん細分化されている。

本来、すべての物事は、明確に白と黒に二分することはできない。グレーも含めて、線状、あるいは放射線状に並んでいる。それを変に分類して、新しい概念を作って、名前を与えることを、ボクは必ずしも好ましいとは思っていない。

認知心理学とか言語学なんかに「プロトタイプ理論」というのがあって、よく例に出されるのが「鳥」である。単に「鳥」と言えば、ハトやツバメのような空を飛ぶ比較的小型の「鳥」を想起する。こういうのがプロトタイプで、ダチョウやペンギンはそういうプロトタイプからは外れる。それでも、「鳥」の中に含まれる。

「鳥」が分かりやすいので例に出したが、「鳥」だけでなく、あらゆる言葉や概念が、プロトタイプを中心に、明確な境界を持たずに、非典型的・周辺的なものを含んで広がっている。

近年のジェンダーの文脈では怒られるかもしれないが、いわゆる男性らしい「男性」や女性らしい「女性」というプロトタイプを、それぞれの人がイメージしていて、そこから「男性」や「女性」という概念は、境界を持たずにふわーっと広がっている。それを理解して、受容することが大事だとボクは思っていて、「性の対象が男性である男性」とか「女性の格好をしたい男性」とか「男性にも女性にも興味がない男性」のようなものを、別ジャンルで区別していくことは、あまり意味がないと思っている。いわゆるLGBTQに区分されない「男性」や「女性」だって、仔細に眺めていけば、細分化していろんなタイプがあって、そういうのもひっくるめて受容することが多様性なのだと思う。

ボクは、どちらかと言えば、女性的なものが好きだ。パステル調の色味が好きだし、ゴリゴリのバトル漫画よりもふわっとした女性漫画の方が好きだ。ラーメンを食べるよりも喫茶店でケーキを食べる方が好きだ。それでも、ボクは「男性」に区分される。でも、「男性」の中でも比較的、プロトタイプからは外れた境界に近いところにいる。それでいいじゃん、と思っている。