ティユ・アン

分 類フィリピン伝承
名 称 Tiyu-An(ティユ・アン)《犬を連れているもの》【フィリピン諸語】
容 姿小犬を伴った女性。長い舌を持つ。
特 徴小犬の合図で胎児の血を吸う。
出 典

その本質は連れている小犬の方にある!?

ティユ・アンはフィリピン伝承に登場するアスワンの一種。ティユというのはワライ語で《小犬》という意味で、ティユ・アンで《小犬を連れているもの》という意味になる。その名が示すとおり、小犬を連れた女性のアスワンである。彼女は他のアスワンたちとは異なって空を飛ぶことはできないが、代わりに屋根まで跳躍できるという。彼女が飼っている小犬は、代々、彼女の家系で母親から娘へと引き継がれていく。そして、この小犬はいつまで経っても年を取らず、永遠に小犬のままなのだという。小犬が彼女の足をペロペロと舐め始めたら、狩りの時間が開始する合図である。彼女は使い魔の黒い鳥(ティクティクも参照)を放ち、獲物を探させると、その家を訪れ、眠っている妊婦の子宮に長い舌を差し込んで、胎児の血を吸う。妊娠初期段階の胎児の場合、胎児そのものが吸われてしまうこともあるという。

実は、ティユ・アンのアスワンとしての能力の根源は、代々、引き継がれる小犬の犬歯に宿っている。そのため、彼女は小犬の奴隷であり、本質的にはこの小犬に支配されている。その意味では、この小犬こそが、この妖怪の本体と言える。

《参考文献》

Last update: 2024/04/14

サイト内検索