ウーズ

分 類現代ファンタジー
名 称 Ooze(ウーズ)《どろどろしたもの、樹液、泥、分泌物》【英語】
容 姿巨大なアメーバ状の生物で、長い仮足を持つ。
特 徴巨大化したアメーバ。家畜や人間を喰らう。
出 典アンソニー・メルヴィル・ラッド『ウーズ』(1923年)ほか

ウーズは不定形の生命体の起源!?

ウーズは巨大化したアメーバの怪物である。アンソニー・メルヴィル・ラッド(Anthony Melville Rud)の『ウーズ(Ooze)』(1923年)に起源を持つ。不定形のアメーバ状の怪物はたくさんの種類が知られていて、たとえば、H.P.ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』(1936年)のショゴスやJ.P.ブレナンの『沼の怪』(1953年)のスライム、そしてSFホラー映画『人食いアメーバの恐怖』(1958年)のブロッブなど、たくさんの作品に登場するが、それらの中でも最も古さを誇る作品は『ウーズ』と言える。残念ながら、このアメーバ状の怪物には明確な名前は与えられていないが、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『ウィザードリィ』などのファンタジー作品には「ウーズ」と呼ばれるアメーバ状の怪物が多数、登場するようになる。

アメーバは巨大化して人を喰らう!?

ここでは『ウーズ』のあらすじを簡単に紹介してみよう。

生物学者のジョン・コーリス・クランマーは原生生物の形態を研究しており、原生生物の成長を抑制する要因を排除にする方法を考案した。その後、巨大化を阻止する要因を排除する方法の研究に着手した。彼はこの方法を家畜に適用することで、巨大なブタやウシを開発して食糧に安定供給が可能になると期待していたわけである。

あるとき、ジョン・コーリス・クランマーのもとに、息子のリーと彼の妻のペギーが訪れて逗留した。クランマーは手の平サイズまで巨大化させることに成功したアメーバを息子に見せた。息子は「どのくらいまで大きくなるのか」と訊ね、父親は「限界はない。十分な食糧があれば寺院と同じくらいの大きさにもなる」と回答した。そして、クランマーは危険性を考えて、確実にこの生物を破壊するように息子に伝えた。

しかし、息子は父の命令には従わず、この生命体を泥の沼に入れて、こっそりと餌を与えて育てることにした。巨大化した生物を証拠として世間に示したら、父の功績が広まると信じたのである。最初こそ餌はウズラなどの小さな鳥で済んでいたが、やがてブタ1頭になり、2頭になり、アメーバはどんどん巨大化していった。そして、空腹になった怪物は遂には仮足(触手)を伸ばしてペギーを襲った。そして、彼女を助けようとしたリーも怪物に飲み込まれていった。

クランマーは息子夫婦の悲鳴に気付いて駆け付け、事態を理解した。しかし、ショットガンでもナイフでも怪物を傷つけることはできなかった。すぐに傷口が塞がってしまうのである。すでに息子夫婦は巨大化したアメーバに取り込まれて死んでいた。

その後、おそらくクランマーは大量のブタを購入して怪物に与え、おとなしくさせると、沼の周りに壁を建設させた。そして、この生命体を完璧に囲いの中に閉じ込めた。結局、食欲旺盛なこの怪物は壁の内側で食べられるものを全て食べ尽くして、餓死したという。

《参考文献》

  • 『Ooze』(著:Anthony Melville Rud,1923年)

Last update: 2024/06/20

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