四海龍王(スーハイロンワン、しかいりゅうおう)

分 類中国伝承(西遊記)、道教
名 称 四海龍王(四海龙王) 〔sìhǎilóngwáng〕(スーハイロォンワァン)【中国語】
四海龍王(しかいりゅうおう)【日本語】
容 姿龍。あるいは鎧兜で武装した人間の姿。竜の角と髭をはやす場合もある。
特 徴東西南北の4つの海を守護する。魚介類を支配し、洪水を引き起こすこともある。
出 典『西遊記』(16世紀)ほか

東西南北の海を治める龍王!?

四海龍王(スーハイロンワン、しかいりゅうおう)は中国伝承に登場する4柱の龍王。中国では古くから、大陸を東西南北4つの海が取り囲んでいると考えられ、それぞれの海を支配する龍王がいると信じられた。特に、唐の玄宗皇帝が751年に四海龍王に広徳王(東海)、広利王(南海)、広潤王(西海)、広沢王(北海)の神号を与えて祀り、以降、信仰が広まった。東海龍王が最も大きい領土を持つとされる。

四海龍王はそれぞれの海を統治するだけでなく、雲と雨を操って洪水を引き起こす力もある。また、魚介類を支配し、玉皇大帝の重要な臣下として位置付けられる。真の姿は龍だが、普段は人間のような姿で龍宮(水晶宮)で暮らす。しばしば、絵画では髭をはやした男性の姿で描かれるが、ときには龍のような角と髭をはやした姿で描かれることも多い。

『西遊記』や『封神演義』などにも登場する。『西遊記』ではそれぞれ、敖廣、敖欽、敖閏、敖順とされ、『封神演義』では敖光、敖明、敖順、敖吉とされる。『西遊記』第3回では、仙術を身につけた孫悟空が、自らの武器を探しに東海龍王・敖廣の宮殿を訪問し、地下に「海の重り」として置いてあった如意金箍棒を無理矢理に譲り受けた。その上、他の龍王も呼び出して、兜、鎧、靴などを渡すように強いた。四海龍王はしぶしぶ孫悟空に全てを与えた。そして、玉皇大帝に、この孫悟空の悪行を訴えている。

また、三蔵法師が乗る白馬も、元々の正体は西海龍王・敖閏の息子の玉龍で、その昔、火事を起こして西海龍王の大切な宝珠を焼いた咎で死罪になるところを、観世音菩薩の慈悲で免じられ、三蔵法師の馬になっている。

《参考文献》

Last update: 2021/08/01

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