順風耳(シュンフォンアル、じゅんぷうじ)

分 類中国伝承道教
名 称 順風耳(顺风耳)〔shùnfēngěr〕(シュンフォンアル)【中国語】
容 姿赤い鬼。
特 徴遠くの音を聞く耳を持つ。
出 典『西遊記』(16世紀)ほか

あらゆる音を聞きつける鬼神!?

順風耳(シュンフォンアル、じゅんぷうじ)は道教に登場する鬼神。千里眼(チエンリーイエン)と対になって、多くは航海・漁業の守護女神・媽祖(マーズー)の門神として崇拝される。

順風耳は風に乗って運ばれるあらゆる音を聞くことができる。その能力から、あらゆる悪の兆候や悪巧みを聞き分けて媽祖に報告する。赤色の鬼で、耳に手をかざして、よく音を聞こうとしている姿で描かれる。

媽祖の伝説では、この二匹の鬼神は、昔、悪さばかりして人々を困らせていたという。それを媽祖が調伏し、改心させ、媽祖の守護神になったという。

『西遊記』にも登場する千里眼と順風耳!?

千里眼と順風耳は、中国四大奇書の『西遊記』では、玉皇大帝の副官として登場する。孫悟空が誕生したとき、その目から金色の光線を放ち、光が天界まで届いた。そこで、玉皇大帝は千里眼と順風耳に調べさせた。千里眼は見て、順風耳は聞いて、孫悟空が誕生したことを玉皇大帝に報告している。

『封神演義』にも登場する千里眼と順風耳!?

『封神演義』にも商の紂王の配下として、千里眼と順風耳は登場する。2将のひとりは高明で、千里を見通す眼を持ち、「千里眼」と呼ばれていて、もうひとりは高覚で、八方の音を聞き分け、「順風耳」と呼ばれていた。周の姜子牙は紂王を討とうとさまざまな計略を立てるが、2将は神通力で次々と計略を暴いた。さすがの姜子牙も自陣にスパイがいることを疑ったほどで、大将の杨戬が調べ、棋盘山の妖樹(桃の樹と柳の樹)が、軒轅廟の順風耳と千里眼の霊気を借りて、周軍の計略を入手していることを突き止めた。姜子牙は棋盘山は桃と柳を掘り起こして切り倒し、軒轅廟の千里眼と順風耳の像を破壊した。杨戬は兵士に2,000本の旗を持たせて休みなく振らせることで千里眼の視線を攪乱させ、1,000人に太鼓を叩かせて順風耳が聞こえないようにした。こうして、姜子牙は打神鞭で高明と高覚の脳天を打ち砕き、姜子牙の軍は勝利した。

媽祖の伝説では、二鬼神は、昔、悪さばかりして人びとを困らせていた妖術使いだったのを、媽祖が改心させ自分の守護を命じて取り立てたといわれる。

《参考文献》

Last update: 2021/06/16

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