シャイターン
分 類 | イスラーム |
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شيطان(シャイターン)【アラビア語】 | |
容 姿 | 実体はなく、変幻自在。一般的には額に角を生やしたたくましい男性。赤い肌で描かれることが多い。 |
特 徴 | サタンに由来。イスラームの悪魔。魔王イブリースに従っている。 |
出 典 | 『アル=クルアーン(コーラン)』ほか |
魔王イブリースに従うイスラーム世界の悪魔たち!?
アラビアにはジンニー(複数形の「ジン」という表記の方がよく知られているかもしれない)という精霊がいるが、シャイターンはそんなジンニーたちの仲間で『アル=クルアーン(コーラン)』などに登場し、しばしば人間を誘惑する。
ジンニーはイスラーム以前からアラビアで崇拝されてきた超自然的存在で、イスラームでも唯一神アッラーフが、天使(マラク)と人間の中間的な存在として創造したものとして『アル=クルアーン』に登場する。『アル=クルアーン』によれば、アッラーフは天使(マラク)たちを光から、そしてジンニーたちを煙の立たない炎から創った。その後、アッラーフの地上の代理人として、最初の人間アーダムを土と水から創った。アッラーフは天使やジンニーたちに対して人間に跪(ひざまず)くように命じたが、ジンニーたちの長であったイブリースだけはそれを拒んだ。アッラーフはイブリースを罰しようとしたが、イブリースはアッラーフに猶予を請い、聞き入れられた。そして、最後の審判の後に地獄の業火によって焼かれるまでは地上の人々を惑わせてやろう、と誓った。こうしてイブリースは天界を追放されたという。
イスラームの精霊ジンニーは自由意思を持っており、善良なものも性悪なものもいるが、シャイターンたちは魔王イブリースに従う悪しきジンニーたちのことで、人間界に出現しては、人々を誘惑する。シャイターンはヘブライ語で《敵》を意味するשטן(サタン)に由来する。ユダヤ教やキリスト教では、悪魔たちは元々は天使で、天使長ルーキフェルとともに神に叛逆し、堕天したとされているが、イスラームでは悪魔たちはジンニーであるとされる。
《参考文献》
Last update: 2013/04/08