麒麟(チーリン、きりん)
| 分 類 | 中国伝承、朝鮮伝承 |
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麒麟〔qílín〕(チィリン)【中国語】 기린〔gilin〕(キリン)【朝鮮語】 麒麟(きりん)【日本語】 | |
| 容 姿 | 一角獣。シカの身体、竜の頭、ウシの尾、ウマの蹄、黄色い毛、全身が鱗。 |
| 特 徴 | 四霊のひとつ。泰平の世に出現する瑞獣。東洋の一角獣。 |
| 出 典 | 『礼記』ほか |
東洋の一角獣、円を描く!?
麒麟(チーリン、きりん)は古代中国で信じられた瑞獣(めでたい動物)で、キリンビールのラベルになっているので、そのフォルムはよくご存じの人も多いだろう。その姿は、全体としてはシカのようで、背丈は5メートル程。ウシのような尾とウマのような蹄を持つ。背中の毛は五色に彩られ、腹の毛は黄色い。額には角を1本はやしていることから、しばしば「東洋の一角獣」などと呼ばれることもある(ただし2本角で描かれる例もある)。頭は竜のようで、身体に鱗があるとも言われている。キリンビールのラベルは竜のような頭で、鱗も持っている。毛が黄金色なのが格好いい。
儒教の経典である『礼記』では、麒麟は鳳凰、霊亀、応竜とともに四霊のひとつに数えられていて、皇帝が仁のある政治を行なっているときにこの世界に出現すると信じられた。五行思想では東西南北を四神(青竜、白虎、朱雀、玄武)が守護しているが、その中央の位置を占めるのは麒麟だとされることもある。元々は黄竜だったものが次第に麒麟に置き換わり、同一視された結果である。
麒麟は非常に穏やかな性格の獣で、歩くときには虫も殺さず、草も踏まないように注意して歩くほど、殺生を嫌う。また、鳴き声が音階になっているとか、歩いた跡は正確な円になるとか、曲がるときには直角に曲がるなど、不思議な特徴をたくさん持っている。毛蟲(毛のある獣)の長とされ、哺乳類を治めているとされる。雄が麒(チー)、雌が麟(リン)と呼び分けることもあり、角があるのは麟の方だけだとも言われている。
孔子、麒麟と遭遇して歴史書の編纂をやめたってよ!?
孔子は古代中国の歴史をまとめていたが、あるとき、魯の国に見たことのない生き物が出現した。孔子はその生き物を見て、それが麒麟であることに気づいたが、人々は気味悪がった。泰平の世でもないのに麒麟が出現し、それを捕えた人々も、それが麒麟だと気づかずに気味悪がったことに孔子はショックを受け、そのあまりのやりきれなさから、この出来事の記録を最後に歴史の整理をやめたという。そのため、『春秋』は獲麟の記事で終わったとされている。
朝鮮半島にも麒麟は出現!?
『朝鮮王朝実録』によれば、朝鮮半島でも麒麟が出没したと伝えられている。1793年、李氏朝鮮の第22代国王の正祖(チョンジョ)が統治していた時代、12月3日に原州(ウォンジュ)に出現したとされる。原州の判官であった元禹孫(ウォン・ウソン)は「頭と尾はウマ、目はウシに似て、蹄は丸く、3歳の子ウシほどの大きさだった。光沢のある灰色の毛が生え、額には6~9センチメートルの毛に覆われ、その毛の間に角が隠れていた。建登(コンドゥン)山の大通りを歩いていたが、草を踏まず、穀物も食べず、人に出会うと尾を振って、まるで飼い慣らされたようだった」と記録している。
また、『東國輿地勝覽』によれば、高句麗の初代王である朱蒙(チュモン)は、平壌(ピョンヤン)の洞窟で麒麟を飼っていたと伝えられている。この麒麟は玉麒麟(オクキリン)という種類の麒麟で、空を飛び、予知能力を持っていたという。
ジラフ(Giraffe)はキリンなのか!?
明の時代、アフリカ(おそらくエジプトのマムルーク朝)からインドのベンガル朝にキリンが贈られ、そのキリンが明の第3代皇帝の永楽帝に「麒麟」として献上された。おそらく、その姿が麒麟に似ていたためであるが、永楽帝の時代に麒麟が現れたとなれば、永楽帝の治世が素晴らしいことの証左となるため、「永楽帝の時代に本当に麒麟が現れたよ!」というパフォーマンスも含めてキリンが献上されたのだろう。この動物を贈られた永楽帝はキリンをいたく気に入って動物園の中で珍重したとされる。日本では、明治時代にこの故事に由来して、博物学者らがこの生き物の訳語として「キリン」を採用した。しかし、本場の中国では、このキリンが麒麟でないことは分かっていたため、キリンの中国語は麒麟ではなく「長頸鹿(チャンジンルー)」が採用されている(「麒麟鹿」という別名もある)。
《参考文献》
- 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2025/10/13
