濡女(ぬれおんな)

分 類日本伝承
名 称 濡女(ぬれおんな)【日本語】
容 姿上半身は髪の毛が濡れた女、下半身は大蛇。
特 徴水辺に棲息し、人間を襲う。
出 典佐脇嵩之『百怪図巻』(1737年)、鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776年)など

髪の濡れた女が襲い掛かってくる!?

濡女(ぬれおんな)は日本の妖怪。九州地方の磯女(いそおんな)に似ていて、海や川に出現する。上半身は常に髪が濡れた女だが、下半身はヘビの姿をしている。たとえば、佐脇嵩之の『百怪図巻』(1737年)や鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)などの江戸時代の妖怪画にそのような姿で描かれている。口元からはヘビのような舌が伸びている。

民俗学者・藤沢衛彦によれば、江戸時代の文久2年(1819年)に、越後(現在の新潟県)と会津(現在の福島県)の境にある川岸は激流になっていた。あるとき、若者たちが木材を得るために船で出掛けたところ、1艘が流されてしまった。流された船の者たちは髪を洗っている女を見つけたが、やがて悲鳴を上げて必死に船を漕ぎ出した。仲間の船と合流し、仲間たちが何があったのか尋ねたところ、流された者たちは「濡女だ」と答えた。仲間たちは話を信じず、女のいたという場所に向かった。流された者たちは恐ろしくなって村へ逃げ帰った。濡女のところに向かった仲間たちの恐ろしい叫び声が何度も聞こえ、結局、仲間たちは戻って来なかったという。濡女の尻尾は3町(約327メートル)先まで届くため、見つかったら最後、決して逃げることはできずに巻きつかれてしまうという。

一方で、島根県の石見地方では、濡女は牛鬼(うしおに)とグルになって人間を襲う妖怪である。海辺で赤子を抱いた女の姿で現れ、抱くように頼んでくる。うっかり赤子を抱くと、女は海の中に入ってしまい、赤子は石のように重くなって手から離れなくなり、身動きができなくなる。すると、海から牛鬼がやってきて突き殺されてしまうのだという。

赤子を抱かされたときには手袋をはめて抱き、逃げるときには手袋ごと赤子を投げ出せば助かるという話もある。濡女に赤子を預けられた男が牛鬼に襲われたが、何とか逃げ切って小屋まで逃げ込んだが、牛鬼は「残念だ、残念だ」と濡女の声と言いながら諦めて去っていったという。

《参考文献》

Last update: 2026/05/23

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