ンガイ

分 類ベトナム伝承
名 称 Ngải〔艾〕(ンガイ)【ベトナム語】
容 姿薬草の妖怪。
特 徴血で育て、強力な呪いを発揮する。
出 典-

強力な呪いを発揮する薬草!?

ンガイはベトナムに古くから伝わる薬草の一種(ウコンやタイショウガ、キョウオウなど、漢方の材料となる球根や根茎を持つ植物)だが、しばしば、人間の血で育て上げ、強力な呪いを発揮し、ときには妖怪化して人間を襲う存在として恐れられた。

たとえば、ビン・ンガイ(binh ngải)という概念があって、術者は特殊なンガイを山奥などから採取してきて、栽培する中で、見えない霊魂を練り込んで、ンガイを兵隊として使役できるようにするというものである。術者の命令に応じて、ンガイは目に見えない兵隊となって暗躍する。

リン・ンガイ(linh ngải)という概念もあって、これは元々、霊(linh)が宿っているンガイを山奥から探し出してくる。そして、毎日、お経を聞かせることで善霊として育て上げることもできるし、血を吸わせることで、悪霊に育て上げることもできる。人間の血を与える場合もあるが、多くの場合、ニワトリなどの家畜の血を与えることが多い。いずれにしても、非常に強い霊力を持ったンガイになる。

ンガイの中でも最も危険なものは、戦場や墓地などで長期間に亘って死者の怨念を吸って育った野生のンガイである。邪悪な術者は、これをンガイ・ヒエム(ngải hiểm)《危険なンガイ》として使役し、呪った相手を確実に呪い殺す。しかも、ンガイは狙われた人物だけでなく、その家系にとり憑き、代々、その家の人間を呪うこともあるという。

実際、ベトナムには「最も恐ろしいのは書(呪符)で、その次に恐ろしいのはンガイの呪いである(Nhất sợ thư ếm, nhì sợ ngải quắn)」という古い諺があるほどで、こういう恐ろしいンガイの呪いの効果は絶大である。

妖虎のホーティンや、トラに食い殺されて悪霊となったマーチャインなどが棲む洞窟の中には、このような野生のンガイが棲息していることが多く、絶大なる霊力を持っていると信じられている。そのため、このような野生のンガイを手に入れるために、多くの術者が山奥に足を踏み入れ、命を落とすとされる。

ブイ・タック・チュエン監督の映画『血のンガイの呪い(Lời nguyền huyết ngải)』(2012年)には、血を吸って能力を発揮する恐ろしいンガイが登場する。

《参考文献》

  • 『Ma Quỷ Dân Gian Ký』(著:Duy Văn,Linh Lan Books,2022年)(ベトナム語)
  • MA QUỶ DÂN GIAN KÝ(ベトナム語)

Last update: 2026/09/06

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