キルムーリス
分 類 | イギリス伝承(スコットランド伝承) |
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Killmoulis(キルムーリス)【英語】 ※ 原義は「kiln《乾燥小屋》」+「mouthless《口なし》」に由来 | |
容 姿 | 口を持たず、代わりに大きな鼻を持つ小人の妖精。 |
特 徴 | 水車小屋の精霊。鼻から食べ物の滋養を摂取する。 |
出 典 | - |
鼻で食べ物の滋養を摂取!?
キルムーリスはスコットランド低地地方の水車小屋に棲む妖精の一種である。原義は「乾燥小屋の口なしさん」という意味で、名前の示すとおり、口がない。その代わりに極端に大きな鼻を持ち、その鼻で食べ物をくんくんと嗅いで滋養分を吸い込むと信じられている。ウィリアム・ヘンダーソンの『イングランド北部諸州と境界地帯のフォークロアについてのノート』(1879年)によれば、昔は水車小屋には必ず、水車小屋の召使いと言えるキルムーリスが棲んでいたという。
キルムーリスはブラウニーやホブゴブリンの仲間とされ、粉屋の家族のために水車小屋で粉挽きを手伝ってくれる存在だが、いたずら好きとしても知られ、しばしば乾燥させるために広げておいた脱穀麦の上に灰をぶちまける。粉屋の主人は呪文を唱えることでキルムーリスを呼び出し、服従させることができた。そうするとよく仕事を手伝うようだ。また、粉屋の家族や水車小屋などに不吉な災難が起こる場合には、嘆き悲しみながら事前に予告してくれることもあるという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2024/06/27