ジャーン
分 類 | イスラーム |
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جان 〔jānn〕(ジャーン)【アラビア語】 | |
容 姿 | 人間に似た姿。 |
特 徴 | 人類創造よりも前に地上を支配し、神に逆らって倒された。その後、低級の精霊になったと信じられる。 |
出 典 | - |
罰せられて最下級に配置されたアラビアの精霊!?
ジャーンはイスラーム伝承に登場するジンニー(精霊)の一種である。
イスラームの聖典『アル=クルアーン(コーラン)』によれば、アッラーフ(神)はマラク(天使)たちを光から、そしてジンニーたちを煙の立たない炎から創った。その後、地上におけるアッラーフの代理人(ハリーファ)として、最初の人間アーダムを土と水から創った。
一説では、ジャーンはジンニーの祖先だとされ、アーダムが神によって創造される遥か以前(2000年ほど前)は、この地上を治めていたのは、人類ではなく、このジャーン(厳密にはジャーン・イブン・ジャーン)だったという。
しばしば、神は預言者を送り込んで人類を正しい道へと導くが、ジャーンが地上を支配していた時代にも、神はジャーンたちに対しても預言者を送り込んでいたという。しかし、あるとき、彼は神を怒らせ、神はジャーンを懲らしめるために、イブリース率いる天使の軍勢を差し向けた。ジャーンは、しかしながら、天使の軍勢に服従することを拒んで天使たちとの戦争を開始した。その結果、ジャーンは天使の軍勢に敗れたとされる。
その後のアラビアの民間伝承では、ジャーンは罰せられて、ジンニーの最下級の存在になり果てたと信じられた。
ジャーンは、テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にも第1版から第3版まで登場していて、ジンニーの仲間の中で最弱の存在として位置づけられていて、砂漠地帯のオアシスを転々とする遊牧民族として描かれている。
イラスト解説
イラストは若い精霊として描いてみた。本来は、ジンニーの祖先なので、老人の姿で描くのがふさわしいのかもしれないが、神に罰せられて無害にされたという説を採って、全体的にかわいく仕上げてみた。
《参考文献》
- 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2022/07/31