ボガート
分 類 | イギリス伝承 |
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Boggart(ボガート)【英語】 | |
容 姿 | 尖った耳、大きな頭の妖精。 |
特 徴 | いたずらをする性悪の妖精。家に棲み憑く。 |
出 典 | - |
グレたブラウニー!?
ボガートはヨークシャーやランカシャーなどのイングランド伝承に登場するいたずら妖精。ブラウニーのように家に棲み憑くタイプの妖精で、ボーグルあるいはボギーなどとも呼ばれる。ブラウニーよりもいたずら好きで、夜中に寝ている人の顔に冷たい手を当てたり、布団を剥がしたり、耳を引っ張ったりする。ときにはポルターガイスト現象を起こし、物体がなくなったり、牛乳が酸っぱくなったりする。さまざまなものに変身するので、本当の姿は分からないが、一般に、動物の姿のときよりも人間の姿に変身したときの方が邪悪な場合が多いようである。
家に棲み憑いたボガートは、うまく扱えば、洗濯や掃除、農場の仕事などを手伝ってくれることがあり、良い関係を築けることもある。しかし、怒らせると家や農場を滅茶苦茶に破壊する。
ヨークシャーのボガートは、子供への悪戯が酷く、バターのついたパンを引ったくったリ、おかゆの皿を引っくり返したり、子供たちを戸棚に押し込んだりした。それでいて姿はちっとも見せない。悩まされた挙句、遂には引っ越しを試みた。しかし、それをすぐに察知して、家財道具を積み込んだ荷台に一緒に乗り込んでしまったため、引っ越しを断念したという。その後もボガートはその家に憑いて、農園中を目茶目茶にしたという。
かなり性悪なボガートもいて、道端で女性に化けて立っていて、旅人に馬に乗せて欲しいと話しかけてくる。快く後ろに乗せると、突然、背中で骸骨の姿になって甲高い笑い声をあげてすがりついてくるので、旅人は落馬して怪我をしたり、最悪、死に至ることもある。
《参考文献》
- 『シリーズ・ファンタジー百科 世界の妖精・妖怪事典』(著:キャロル・ローズ,監訳:松村一男,原書房,2003年〔1996年〕)
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2021/05/29